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ある映画監督の生涯 溝口健二の記録

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4.0

ネタバレ淀川長治「もっと綺麗だったよ溝口さん家」

溝口健二、そしてその全てのファンに捧げられたともいうべきドキュメンタリー。 まあ溝口健二を余り知らない人が見ても楽しめるかどうかは解らないですが、多くが語られてこなかった溝口健二について知る事が出来る貴重なフィルムです。 溝口健二が何者なのか、溝口健二がどんな映画を撮ったのか。 それを探るために溝口健二と関係が深かった人々に片っ端からインタビューしていきます。 宮川一夫、 川口松太郎、 依田義賢、 増村保造、 伊藤大輔まで!そして溝口映画を彩ってきた女優たち。彼女たちの老いた姿は最初ショックかも知れませんが、当時を活き活きと回想する姿はじんわりしてしまいます。 特に「祇園囃子」についてのシーンが印象的。 「祇園囃子」は溝口健二に言わせると間に合せの作品だったそうです(えー!?間に合せであんな面白い映画を撮ったの)。 「力を抜いて」なんて聞く兼人さんはちょっとデリカシーに欠けている気がします。モチロン悪気は無いと思います・・・ただ、命懸けで役を演じてきた人に対して「力を抜いて」は無いでしょう。 聞かれる方は目が笑っていないんですもの。「おめえさんに何が解りますんや?」とでも言われているような冷たい目が、怒りに似た心情を感じさせます。 溝口健二を「狂恋の女師匠」時代から知る淀川長治さんもまた、「溝口さんの家はもっとキレイやったよ」と怒っていたそうです。 ただ、良くも悪くも「祇園囃子」を始めとする溝口映画がまた見たくなるほど刺激のある内容です。

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