吾輩は猫である
あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
本編配信
スマートフォンご利用の方はアプリから視聴できます。
作品レビュー(7件)
- ali********
5.0点
<追記: 2015年ついにDVD発売。ありがとうございます。> 猫も可愛いが、明治末期の東京の雰囲気がすばらしい。いつまでも「名前はまだない」猫が、教師の家に飼われ、その世界の表と裏を観察します。インテリたちが教師の家に集まって、役に立たない会話に興じて過ごす。役に立たないが、「富国強兵」で突っ走ってきた明治の日本が(大都市では)円熟と余裕に達したということで、知的で心地よい雰囲気です。もちろん、ほぼ漱石の原作にしたがっているわけです。 教師は胃弱で給料も少ないので、傲慢というわけではありません。隣は三味線のお師匠さんで、飼い猫も美人で教師の猫のあこがれの的。近くにある学校からは、剣道の訓練のうるさい声が聞こえてくるが、軍国主義はまだずっと先の話です。教師の親戚の美しい女学生(雪江さん)や、教え子で1人だけ実業家になった若者もやってきて、新風を吹き込みます。 最近の『グーグーだって猫である』や、チェーホフの『かもめ』(★ともにレビュー済み)にも似た、なんともいえない雰囲気です。大きな目的や展望があるわけではないが、とりあえず人生と人間関係を楽しみ、味わっているという雰囲気。人がたくさんしゃべる割には、叙情が感じられます。セレクトされたバッハの音楽が、とても似合っている。 フェリーニの『甘い生活』(★レビュー済み)にも、似ているかもしれない。 これほどの名作が、DVDで発売されていないらしい。理由を知っている方、ぜひ教えてください。「今から見ると差別的と思われる表現がありますが・・・」という理由なのでしょうか。たしかに「車屋」(とそこで飼っているネコ)を見下げる表現などありましたが、問題ないでしょう。 猫と漱石と社会史が好きな私としては、ぜひDVDでコレクションしたいものです。 *** ところで、ネコは、元来リビアに生息していたヤマネコが、(ナイル川から農業用水を得た)エジプトで穀物をネズミから守るために飼われ、家畜化された、とある本で読みました。賢くて、大きすぎず小さすぎず、愛らしくかつ野性味を残すというネコの貴重な、動物界では例外的な特性は、そこから生まれてきたようです。ナイル川が流れる方向が違っていたら、ネコという家畜は生まれてこなかったのでしょうか。 また、ネコの母親が子供を可愛がるのは、クロネコヤマトの宅急便のマークのとおりです。
- hon********
5.0点
市川崑監督の作品は個人的には、技巧を衒って余り評価出来ないのですが、この映画は肩の荷を降ろした様な洒脱な演出が光る、傑作です。仲代達矢氏の黒澤明監督では見られない、小市民の悲哀を素敵に演じられて素晴らしい。舞台劇の味わいを感じる演出と名演技に脱帽です。最近ようやく東宝でDVDが発売されましたがここはせひともブルーレイを、当時の円熟した東宝美術陣の素晴らしい明治時代の背景を味わうにはDVD ではなく是非ブルーレイで発売をお願いではなく、要求したい。特に猫好きにはたまりませんね。 個人的には監督最高傑作です。
- tak********
5.0点
芸術性が極めて高い作品、日常のまったりとした時間の流れの中から、実は鋭く、人間の全てをあぶりだしている。知性と知性の空虚さ、ユーモア、怒り、喜び、高尚、俗っぽさや、会話の面白さ・・とにかく要素が満載なのに混沌とせず、静かな調和を保っているところが素晴らしい。この映画はとても奥が深いので、最低でも数回は見ないと本当の良さは解らないかもしれない。芸術を志す人、必見の映画。私はこの映画を恐らく、50回以上は繰り返し見ています。
- fbx********
2.0点
市川崑は多作である。 よって、傑作も駄作も多い。 こっちは駄の方。 漱石のコミカルで深遠な世界は皆無。 役者にも魅力無し。 その所為か猫も可愛く見えない。
- o9t********
4.0点
夏目漱石というひとは、 あまりにも国語の教科書のイメージがしみついてしまっているせいか、 「真面目な日本文学の文豪」としてとらえられすぎていやしまいか。 ほんとうは皮肉屋でずぼらで飄々とした愉快な人物ではなかったか。 世の中の重箱の隅をほじくり返してぶつぶつ言ってるような 愛すべき文化人ではなかったか。 というようなことを改めて感じさせる作品。 仲代達矢はじめいい味の役者陣の魅力もあいまって まるでサブカルサークルのよう。 市川監督のかぶせ気味のカット割りが冴える! しかし、この吾輩、ロシアンブルーじゃないのか? 駄猫という設定なのに…。
スタッフ・キャスト
人名を選択するとYahoo!検索に移動します。