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動脈列島 (1975)

監督
増村保造
  • みたいムービー 10
  • みたログ 52

3.21 / 評価:19件

スッキリしない

  • kin******** さん
  • 2019年12月27日 17時07分
  • 閲覧数 222
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

白坂依志夫脚本、増村保造監督ということで、世評的には佳作を連発したゴールデンコンビ。ただ、私は体質的に合わないのか、白坂脚本で面白いと思ったものは一本もありません(もちろん全部は見てませんが、代表作と言える巨人と玩具とか、曽根崎心中もだめだった)。
 本作もなんだかスカッとしない仕上がり。

 犯人近藤正臣は、新幹線の騒音公害に反対する正義漢、一方の田宮二郎を中心とする捜査官たちも市民の命を守るために行動します。観客としてはどっちに感情移入してよいか分かりません。
 社会派サスペンスとするなら、あくまで近藤正臣の義憤を追って、この非常識な行動を取る以外なかったという、心情に迫るべきだったし、痛快アクションサスペンスとするなら、犯人は金目当てのサイコパスで、捜査官たちの動きを緻密に描くべきだった。
 本作はどっちつかずの中途半端。轟音たてる新幹線のカットを、特に冒頭とエンドで執拗に繰り返しているから、増村監督としは社会派サスペンスを狙ったのだろうけど。原作はどうなってるんでしょうか。

 映像的にも、犯人が偽装した停止指令を受け、新幹線が止まってしまう描写はスローモーションとストップモーションでお手軽に表現していたり、いろいろ残念。
 脚本もかなりいい加減。不要な説明セリフが多い(関根恵子が近藤正臣に「薬剤師の私が」とかわざわざ言うとか全編そんな感じ)。薬局からニトログリセリンを持ち出した容疑で、関根恵子が10日ほども勾留されるのはないでしょ。
 ラスト、ブルドーザーをリモコンで動かすなら、なんで逮捕のリスクを犯してまで、一度ブルドーザーの近くに行くのか。まあ、自転車押して現場作業員のふりする芝居が面白いから、それだけだと思います。

(原作読了して追記)
原作には、ブルドーザーに一度近寄ってバッテリーをつなぐ必要があったことが明記されています。
 そして、犯人と捜査陣の対立を越え、政治と文明の歪みに迫った社会派小説でした。結末は犯人側の完敗ではありません。そこは映像化の方便のため、変えてしまってあります。予算や上映時間の制約があるとは言え、かなりお手軽な変更です。原作にある文明への警告的視点をもう少しは残して欲しかった。
 また、関根恵子の役は原作では任意同行で犯人の説得に来ています。そのほうが心情的な深みも出るのに、改悪だと思います。
 総じて原作のほうがかなり上、やっぱり白坂依志夫は私にとってはダメ脚本家でした。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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