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アルジェの戦い (1966)

LA BATTAGLIA DI ALGERI/LA BATAILLE D'ALGER/THE BATTLE OF ALGIERS

監督
ジッロ・ポンテコルヴォ
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4.28 / 評価:79件

フランスがテロの標的となる理由

  • yam***** さん
  • 2017年2月26日 21時07分
  • 閲覧数 1038
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

アルジェリア独立から4年後に公開されたイタリア映画。

フランスからの独立を目指すアルジェリア民族解放戦線(FLN)のテロと、それを徹底的に弾圧するフランス陸軍空挺部隊との戦いをドキュメンタリータッチで描いている。

主人公はFLNの幹部となったアルジェリア人の青年であり、祖国独立の達成を目にすることなく非業の死を遂げる。

この映画は徹底的に支配階級のフランス人の特権意識、差別意識、非人道的行為、傲慢さをあぶり出す。

現地人を「アラブのネズミ」と蔑み、融和を図ろうとはしない。

100万の白人キリスト教徒のフランス人が、900万のイスラム教徒のアラブ人を支配したが、結果的に統治にも融和にも失敗して撤退することになる。

フランスが次々と植民地経営に失敗した理由が、客観的に描かれている。

それは、現地人の誇りを踏みにじったからに他ならない。

この映画がフランス人の手で撮られていたなら、すごかったが…。

ベネチア映画祭での上映会ではトリュフォー以外のフランス人が全員退席したという逸話を残している。

この映画の背景には、植民地競争に出遅れたイタリアとフランスの確執がある気がしてならない。

イタリアにはフランスを断罪する権利があるのだろうか。



徹底的な拷問によりFLNは全貌を暴かれ壊滅する。

それからしばらくのち、何の脈絡もなく突然民衆の一斉蜂起が勃発する。

ハウハウハウハウ…

夜のカスバにこだまする女性たちの叫び声とドラムの音。

多くの血が流された後に、普通のおっさんおばさんたちがついに立ち上がり、アルジェリアは独立を勝ち取ることを告げ映画は終わる。

逆に言えば、民衆の一斉蜂起を呼び覚ますためには、無差別殺人を含め多くの血が流れる必要があったということになる。

それだけ多くの犠牲の末に、やっと一般民衆が自分の命の危険も省みず、立ち上がることになる。



人を見下すフランス人って奴等は、全くもって鼻持ちならない存在である。

それをイタリア人に指摘されるというのが笑える。

フランス人たちはこの映画をどういう思いで観たのだろうか。

1971年まで、フランスでは上映禁止になっていたらしい。




白人 vs アラブ人

キリスト教徒 vs イスラム教徒

軍人 vs ゲリラ

支配者 vs 被支配者



二項対立の構図が分かりやすいが、単純化しすぎている可能性もある。

実際にはフランスに協力したアラブ人も多くいたらしいが、その辺の描写はない。

アルジェリア独立後に約100万人のフランス系アルジェリア人がフランスに渡航したとのことだが、本国人から差別を受けたらしい。



独立後もアルジェリアでは内戦が続き、未だにテロが鳴り止まない現実がある。
暴力が暴力を呼び、その連鎖を断ち切ることが難しい。

今の状況を変えるために自爆テロを決行する人も後を絶たない。

その背景には、鈍感な我々が気付かないだけで、尊厳を押しつぶされた多くの人間がいるのだろう。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 絶望的
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