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姿三四郎

bakeneko

5.0

ネタバレ観れば幻の大技”山嵐”が会得できる!

1940年代に大人気となった富田常雄の原作の前半部分(〈巻雲の章〉から〈碧落(へきらく)の章〉まで)を映画化した黒澤版”姿三四郎は,その後の映像化作品の基本となっています(どんどん異種格闘化がエスカレートする後半部も愉しいのになあ)。 本作は,黒澤バージョンを尊重しつつ,喜八アレンジを加えて随所で驚かせてくれる作品となっていて,特に田中邦衛の“先輩”のキャラクターやヒロイン乙実が“華族の落とし種”であることにオリジナリティが発揮されていますし,黒澤バージョンでちょっと後味が悪かった“零落した柔術家を死なせた件”も上手にフォローしています。 そして,“宮本武蔵”的な求道物語の真面目さが前面に出ていた黒澤版に比べて,破天荒な“若さのエネルギー”が弾けている点が喜八バージョンの魅力で,明治という新しい薫風の中を駆け抜ける青春像に元気を貰える映画となっています。 また,主演の三浦友和や柔術家役の若山富三郎等,実際に柔道の有段者が演じる殺陣は説得力満点で,現代柔道にはない変則技も見どころであります。 そして,仲代達矢,中村敦夫 ,矢吹二朗,宮内洋,中谷一郎,岸田森,田崎潤,丹波哲郎,森繁久彌,芦田伸介と,当時の東宝のオールスター&喜八組の俳優も総出演の楽しさで,特に22歳のあどけない秋吉久美子を始めとした,浅野ゆう子 ,草笛光子, 岸田今日子らの饗艶は眼福ものであります。 文句なしに愉しい青春活劇の傑作で,“本物の台風”を生かして撮った黒澤バージョンに対抗した大扇風機ロケや氷河上の決闘は力が入っていますよ! ねたばれ? 脚が悪いのにどうやってあんな海岸の岩地に?

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