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ある戦慄

ある戦慄

THE INCIDENT

103

fg9********

5.0

十分に見応えの「ある戦慄」的な作品

 …半世紀も前のラリー・ピアース監督の1967年の作品だ。  …あらすじは解説のとおりと書こうと思ったら空欄だった。  電車の中における密室劇だが、1秒たりとも眼が離せず釘付け状態だった。  序盤でチンピラ2人の凶悪ぶりを描き、中盤は電車に乗り合わせる人々の生活感を描き、中盤から終盤にかけてはチンピラに翻弄される人々の無力さを描き、何とも言えない虚しさ(悪い意味ではない)を覚えた作品だった。  人間の持つネガティブの部分(無力感、脱力感、喪失感、儚さ、切なさ、身勝手さ、不甲斐なさ、自尊心、虚栄心、失望、絶望)等々がすべて暴き出される、そんな内容だった。  ホラー映画とは全く違ったドキドキ感・ハラハラ感を味わうことが出来た。  また、オラッチはどの乗客に当て嵌まるのだろうと真剣に悩んでしまった。  ネタばれになるので詳しくは触れないが、最後に眼を伏せていそいそと電車を降りていく乗客達は一体なんなんだ?  チンピラに果敢に向かっていった片腕骨折の青年に何も声をかけてあげないのか?  いやいや、あまりにも自分たちの行動が不甲斐なくて…惨めで…声をかけるのも気が引けるってか?  多少の後味の悪さが残ったが、音楽も非常に緊迫感があり、十分に見応えの「ある戦慄」的な作品だった。

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