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銀河鉄道999 (1979)

監督
りんたろう
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4.41 / 評価:316件

非業の死を遂げた者たちに惹かれる

今回取り上げるのは1979年の『銀河鉄道999』。日本のアニメーション映画の歴史に燦然と輝く不滅の傑作である。公開当時、僕はまだ小さかったが東京のメイン上映館である「丸の内東映パラス」まで観に行った。館内は大入り満員で座る事ができず、やむなく客席の一番後ろで立ち見した。「いま入場しても座れるとは限りません」という館内アナウンスを覚えている。丸の内東映パラスは「丸の内TOEI(2)」と館名を変えて今も健在である。

ちなみにこの年はヒーロー映画の嚆矢となった「スーパーマン」、SFホラーの「エイリアン」、ベトナム戦争の後遺症を描いた「ディア・ハンター」、バイオレンスアクションの「マッドマックス」、原発事故を予言した「チャイナ・シンドローム」、リビングデッドものの「ゾンビ」、ジャッキー・チェンの日本デビュー作「ドランク・モンキー酔拳」など、後の映画界に大きな影響を与えた映画が続々と公開された。日本のアニメで同じ年に公開され、本作と同様に語り継がれている映画としては「ルパン三世/カリオストロの城」がある。「機動戦士ガンダム」がテレビ放送されたのも79年だったはずだ。

本作の印象はいまだ色あせることなく、蒸気機関車が走る映像を見ると脳内でゴダイゴの歌う主題歌が聞こえてくるほどだ。この曲はアニメソングの枠を超えたスタンダードナンバーであり、当時はオリコン最高位で2位を記録し(1位はピンクレディーだろう)、シングル売り上げ120万枚という大ヒットを記録した。主人公・星野鉄郎(声:野沢雅子)が999号で地球を旅立つ時に流れる「Taking off」も希望にあふれたいい曲だ。

もう1曲、トレーダー分岐点がある惑星ヘビーメルダーの酒場で、リューズ(声:小原乃梨子)が歌う子守歌のような哀歌(エレジー)「やさしくしないで」も忘れられない。泣きながら彼女の歌を聴いている客の中には、原作者の松本零士によく似た男もいた。リューズは鉄郎の母親を殺した機械伯爵(声:柴田秀勝)の部下であり、時間の経過を早めるという大技を持つ。ラスボスのプロメシューム(声:来宮良子)よりも強いかもしれないキャラクターだ。酒場で歌っているのは、機械伯爵の命を狙う者が現れないか情報を得るためである。

リューズが冷酷非情な機械伯爵に従っているのは、生身の人間だった頃の伯爵を忘れられないためだろう。結局、鉄郎を手にかける事ができず、これまでの人生を悔やんだ後に自らの能力によって朽ち果てていく。「やさしくしないで」のメロディに乗せて機械伯爵の本拠地「時間城」が崩壊するシーン、形見となったギターの弦がプツンと切れるシーンなど、涙なしで見る事ができない。本作でいちばん惹かれたのがこのリューズである。

リューズ以外にも味のあるキャラクターがいっぱいだ。宇宙病に罹って余命わずかなトチロー(声:富山敬)と鉄郎の束の間の出会いと別れも、本作を代表する名場面である。鉄郎から母親の事を聞かれて「家を出た時に別れは言ってあるさ・・・」と呟く場面。テレビで一緒に観ていた妹が「富山敬さんは何て上手いんだ」と感動していたのを思い出す。僕にとっても声優の演技というものを意識した初めての経験だった気がする。
公開されてから39年も経つため、声優陣は今や大ベテランになっているか、残念ながら亡くなった人も多い。富山敬と並んで印象に残るのは、ナレーションを担当した城達也だ。ラストシーンの「さらば銀河鉄道999、さらば青春の日よ・・・」という万感のこもった語りを覚えている人も多いだろう。

本作の最強キャラはメーテル(声:池田昌子)の母親プロメシュームだが、惑星メーテルの大爆発にも傷一つ負わなかったプロメシュームを倒したのが、999号のウェイトレス・クレア(声・麻上洋子)である。全身が青いクリスタルガラスでできており、999号が宇宙のトンネルを通過する時は全身を発光させて照明代わりになったりする。鉄郎を絞殺しようとしたプロメシュームをクレアが自爆攻撃で破壊するシーンは、初めて観た時大変なショックであった。
こうして見ると、僕にとって印象に残るキャラクターはハーロックやクィーン・エメラルダス(声:田島令子)といった強いヒーローよりも、リューズ、トチロー、クレアなど劇中で非業の死を遂げた者たちである。

鉄郎が999号で旅する目的は、不老不死の機械の身体を手に入れるためであったが、機械伯爵との戦闘を経て考えを変える。「機械の身体によって人間は温かい心を失ってしまった。人間を不幸にする機械化母星を破壊したい」と言う。星を破壊するとはいくら何でも乱暴だと思うが、『銀河鉄道999』の世界では星自体が悪意を持った生命体のように描かれたり、鉄郎らと敵対した挙句に宇宙の藻屑と消える星も多かった。本作では星が消えるのはよくある事で、決して過激な考え方ではないのかも知れない。

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