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英霊たちの応援歌/最後の早慶戦

Kurosawapapa

5.0

野球、どれだけやりたかったことか、、、

======= 太平洋戦争の真っただ中、昭和18年の春、文部省は六大学野球連盟の解散を厳命。 同年10月16日、戸塚球場で “最後の早慶戦” が行われた。 両校エール交換の後、「海ゆかば」の歌声が起こり、やがて球場全体の合唱となって響き渡る。 ======= この映画は、岡本喜八監督による1979年の作品。 「ラストゲーム 最後の早慶戦(2008年)」とは違い、試合の内容は描かれず、 試合後の入隊、戦争に向かっていく姿に、重点がおかれています。 痛ましい戦争の白黒写真や、実際のフィルム映像を折り込みながら、 短いカットでテンポを作り、淡々とした流れを作り出している。 部員、 顧問、 マネージャー、 それぞれ実在した人物が実名で登場。 早慶のメンバーだけでなく、明治、法政、立教、専修、中央、 沢山の面々と、その背景を映し出す。 心から野球を愛した若者たちが、 弱音を吐かず、恐怖に立ち向かい、自らを鼓舞しながら戦争に突き進んでいく。 そんな若者たちの命を、1つまた1つと奪っていく戦争の惨さ。 この映画は、 若い俳優中心であったことによる演技力不足、映像力不足など、 決して評価の高い作品とは言えないかもしれません。 また本作公開後、 特攻隊に対し、「格好いい」という評価があり、 岡本監督は、ある意味 “危険な映画” だったと語っています。 しかし、 “映画の自由な表現思想に重点を置き反戦を訴える”  そんな岡本流を理解していれば、十分理解できる作品。 ともに汗と涙を流した仲間が、特攻隊として敵艦に向かっていく、、、 突き進む者、 それを見届ける者、 両者の気持ちが、痛切に伝わってくる。 ポケットに入れてあったボールを握りしめ、叫びながら敵艦に突っ込んでいく姿は、 涙なくして見ることができません。 佐藤勝のトランペットが、 切々と、英霊たちの鎮魂歌を奏でていました。 ( OKAMOTO:No15/20 ) 今作の監督キーワード:「表現思想重視」

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