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Keiko

Keiko

117

daw********

4.0

こういうのもありですよね

これといって盛り上がりもなく、一人暮らしの若いOLの 日常をドキュメンタリー映画の如く淡々と描いていて、 ちょっと映画文法からずれた作風なんですが、それが 微妙な味わいとなって時間の経過とともに作品に 引き込まれ不思議と何度も見てしまうのです。 監督は京都に在住していたカナダ人の クロード・ガニオン氏ですがよくある外国人の目から 見た日本なり日本女性という構成にはなっていなくて、 純粋に男性なり家族なり、そうした関係性の中で 育まれていく女性の生きざまを丹念に描写しながら 女性の生き方を問い詰めた作品になっています。 京都を舞台に、当時、京都大学の学生だった若芝順子さんを 主演のケイコ役に起用して、またその他の配役も無名の 役者さんか素人さんです。 そのせいもあってか、芝居がかっていない主役と初めて 見るキャストに不思議なリアリティーを覚え、生活感が濃厚に 感じられるのです。ケイコ役の若芝順子さんは、おそらく この作品が最初で最後だと思うのですがケイコを演じる ためにだけ人生のほんの少しの間、カメラの前に立ったか のようできっと、この役以外は演じることができないことを 悟ったのだと思います。 最初は台詞回しも仕草もぎこちないのですが、時間の経過と ともにケイコになっていくのがわかります。画面の中で ケイコとして成長していくのです。ストーリー展開の順に 撮影したのかどうかはわかりませんが最初と最後では 全く別のケイコなのです。 大学を卒業してOLになってから、狭いアパートで一人暮らしを しているケイコは一見、自由な生活を楽しんでいるように 見えるのですが、特に親しい男性がいるでもなく、会社と アパートを往復するだけの単調な生活に、寂しさと焦りを 感じています。高校時代の恩師に連絡をして会って、何軒も 飲みまわって初めての経験をする。でも、それはその場限りの ことで、空虚な心を満たしてくれるわけではない。 喫茶店で、好みの男を見つけて、何とか男の気を引いて部屋に 誘います。この狭いアパートの一室で二人の関係は続いて いきます。ケイコは幸福感に満ちた日々を送るのですが、 ある時、男が家庭持ちで、ただ単に自分が欲望の対象でしか なかったことを知ることになります。こうしてあっけなく 二人の関係は終りを迎えるのです。 そんなとき、会社の先輩女子社員カズヨと深い関係になり 同棲を始めるようになります。カズヨと一緒にいるとすべてが 満たされ、ささやかながら将来の夢も語り合うようになります。 けれど、こんな幸福な日々が続くことに自信も持てず ケイコは親の一方的に勧めるお見合い相手と結婚することを 決意します。 昭和54年の作品で、当時としては同性愛を扱ったという こともあり、注目を浴びますが、同じ年に各賞を総なめにした 東陽一監督の「もう頬杖はつかない」が女性の自立を題材として 新しい女性像を表現したのに反して、ケイコは結婚という 従来通りの価値観のままの選択でエンディングにしています。 しかし、花嫁姿での取り繕ったケイコの笑顔には、敗北感にも 似た感情が読み取れ、何より冒頭シーンで映画館の中で痴漢を する男と見合いした結婚相手の男が同一人物という配役に 監督が意図したかったのでしょうしがらみから脱しきれない 他律性を読み取ってしまうのです。

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