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チャンス (1979)

BEING THERE

監督
ハル・アシュビー
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3.85 / 評価:227件

老主人の死から始まり自らの死で終わる遺作

  • hoshi595 さん
  • 2019年2月22日 2時54分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

主役は、「ピンク・パンサー」シリーズのクルーゾー警部が当たり役のピーター・セラーズ。またまた彼特有の爆笑コメディが見られるかと思えば、どうも出だしから微妙な雰囲気が漂う。

原作は、ニーチェの「ツアラトゥストラはかく語りき」をベースにジャージ・コジンスキーが書き下ろした小説で、本作品では脚色も担当している。

主人公の名前はチャンス。老主人に仕える庭師という役所だが、その名前と職業が後で大きな誤解を生み、想定外の物語へ進んで行く。詳しくは見てのお楽しみだが、正直な彼を取り巻く人々が勝手に解釈して、会話がかみ合わない有様は、ちょっと遅れて笑いがこみ上げてくるので、投げてもすぐ爆発しない手榴弾のようだ。

共演は、「あなただけ今晩は」で、ジャック・レモンと絶妙のコンビで笑いを提供したシャーリー・マクレーン。彼女の素晴らしいところは、常に可愛らしい女性であることで、その特徴は本作品でも遺憾なく発揮している。

他では、「女の顔」でジョーン・クロフォードと共演したメルヴィン・ダグラス、「十二人の怒れる男」で陪審員7番を演じたジャック・ウォーデン、ジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」でドクター・コッパー役のリチャード・ダイケートなど。

監督は、シドニー・ポワティエの「夜の捜査線」では編集を担当、ジェーン・フォンダ主演の「帰郷」では監督を務めたハル・アシュビー。「大狂乱」や「スラッガーズ・ワイフ」などのコメディ映画も手掛けている。

冒頭で感じた違和感は延々と続いた。それは、いつもより物静かな主人公を演じているピーター・セラーズだからだろうと思いながら見ていたので、最後の方で強い暗示を受けるまで気がつかなかった。

実は、最後まで見ても疑問は解けなかったのだが、後で確認してみると”撮影順”という並びで見れば、本作品がピーター・セラーズの遺作になるのだった。

1980年7月に54才という若さで急逝した事を予言しているかのようなラストシーンは、ピーター・セラーズ最後のコメディアンとしての仕事を、彼らしいけじめで締めくくったようにも思える。

本当は、もっと明るくドジな姿を見てお別れしたかったので、過去の素晴らしい作品を賞賛する意味で評価は敢えて普通にした。しかし、静かにスクリーンの中を遠ざかって行く姿は印象的で、エンディングの”最後の笑い”もアンコールに応じてくれたかのようで優しさに満ちあふれていた。

ありがとう、ピーター・セラーズ。

クルーゾー警部を永遠に忘れません!

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