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翔べイカロスの翼

ぴーちゃん

4.0

さだまさしの本気度を感じました。

のぎくプラザで「翔べイカロスの翼」が上映されているので観に行った。 さだまさしの唯一の主演映画であるそうな。この映画の主題歌が『道化師のソネット』である。公開は1980年だという。 とにかく当たり前だが、みんな若い。さだまさしが人気絶頂の頃の作品だが独立系だったのでヒットはしなかったようである。つまらなそうなオープニングだったが次第に面白くなってきた。  写真家志望の青年、栗山は各地を転々としながら写真を撮っている。ある土地で大学時代の親友とバッタリ再会。証券会社に努めているその彼は最近写真を始めたばかりだが、栗山が応募している写真雑誌にすでに入選していた。面白くない栗山はそっぽを向くがそこにキグレ大サーカスのポスターがあった。気晴らしに行ったサーカスで栗山はサーカスに魅了されて団長にかけあいサーカスの写真を撮りたいと申し出て仲間になる。最初は雑務をこなしていたが、そのうち写真よりもサーカスそのものに惚れ込んで入団を申し出る。最初はすぐに辞めるだろうとタカをくくっていた周囲の人々も彼の熱意に打たれ、請われるままに真剣に芸を教えていく。栗山は数々の芸を覚えていき、笑いが必要だということで自らピエロになり、ついに危険な綱渡りにまで挑戦する。  サーカスってなんであんなに物哀しいんでしょうねぇ。華やかそうに見える裏にそこはかとなく漂う寂寥感…。街からまちへのテント暮らし。生まれた時からサーカスの一員である百合(原田美枝子)は言います。「アタシの夢はちっちゃくてもいいから動かないおウチに暮らして愛する人のワイシャツを縫って子供と暮らすことなの」ちょっと違うかもしれません。うろ覚えなので(^_^;)この原田美枝子がまた若い。そしてたまらなく魅力的!魅力的って言えば、団長役のハナ肇ですねぇ。この人は得がたい俳優だ。出てくるだけで画面がぱっと明るくなる。宮口精二も出てるんです!七人の侍の久蔵ですね!百合のおじいちゃん役。「おまえは、あのうらなり(だったかな?違うような気がするなぁ)を好きになる」とか言うんですよ~。栗山も百合のことどう思ってるんだとか聞かれて「いいっすね~」と答えたりします。  自転車に欠員が出たその日の銚子公演!栗山は団長に呼ばれ初舞台に立ってみないか?と打診されます。もちろん二つ返事でOKです。緊張の初舞台、転倒もありましたがなんとか笑いに変えて無事終了!初舞台の成功をスナックで祝うサーカスの面々。団長から「なに?もう二年も親に手紙一本書いてない?ここから実家近いんだろ?これから帰って初舞台の成功を報告しろ!」「これからですかぁ?」「明日の昼までに帰ってくりゃいいんだから。土産持っていけ!」と団長からハッパかけられ銚子駅にタクシーで駆けつける栗山。その駅でなんとサーカスを出て行く百合とばったり!「どこいくんだよ!」「アタシテントの外に出たいの!」百合はサーカスの団員でオートバイ芸のケンちゃんと駆け落ちする途中なのでした。見事な失恋です。  この映画の原田美枝子はとってもいいです。このあと出て行った百合と栗山が再会する場面が出てくるんですが、ここもまたいいんですよね~。  クライマックスに悲劇は訪れます。綱渡りでの事故。実は最初に松山善三脚本というのを目にした時から嫌な予感はしていました。松山善三というひとは劇中で主要な登場人物を死なすという特徴があるのです。「名もなく貧しく美しく」「乱れる」「二人の息子」、意識してみた松山善三脚本での登場人物の死はこれで四回目です。またかよ~って思ったのですが、調べてみたらこの作品に関してはノンフィクションなのですね。「ピエロのクリちゃん」して親しまれた栗原徹さんというかたがいらしたのですね。これは勉強不足でした。いい作品であると思います。

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