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火の鳥2772 愛のコスモゾーン (1980)

監督
杉山卓
  • みたいムービー 5
  • みたログ 107

3.76 / 評価:34件

永遠の孤独

  • bam***** さん
  • 2009年4月27日 3時27分
  • 閲覧数 570
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

個人的には、『ヤマト編』『鳳凰編』の方が好きです。

映画冒頭、音楽と映像だけの部分、赤ちゃんから青年へと成長して行く過程の描写は、ロボットにより管理された社会の象徴の様で、手塚治虫さんの想像性が発揮された素晴らしいシーンだと思います。ただ、実際にああやって子供が育てられる社会を想像すると、ぞっとするものがあります。

火の鳥を捕まえに行く旅に出るまでの流れは、青年の自我の芽生えから派生する様々な要素(恋愛、管理社会への抵抗など)が上手く織り込まれていて、豊かな物語になっていると思います。ただ、宇宙に飛び出し火の鳥と対峙する辺りから、火の鳥が形を変える様子、戦いのシーン、地球が崩壊して行く様、などの描写がこれでもかというくらいに出て来るので、それが却って物語に入り込む気持ちを削がれました。一度観れば分かる事を何度も言われている様な気分になりました。また、現象の描写への力の入れ方と、人物の心理描写のそれとには温度差があり過ぎて、何故そう想うのか、という流れが掴みづらく、感情の起伏が唐突に感じられる箇所が後半に多く見られたのが気になりました。

火の鳥と出会って、1つの星に住む1人の生命体であるという意識を強く持つ様になった主人公は、自分を犠牲にしても他の人を助けたいという自己犠牲の愛へと駆り立てます。本当に大切な事を理解した人間が犠牲になる事で、愚かな行いを繰り返す人間だけが生き残る、というのは後味が悪いですが、唯一の救いは、主人公が赤ん坊として、人間の女性に生まれ変わったオルガと共に生きて行く事を暗示する終わり方になっているところです。彼はまた大きくなって、人々を正しい道へ導く役割を果たすのでしょう。

圧倒的な力を持つ火の鳥が、愛を欲していたというところが、何とも哀しい気がします。永遠の命であるという事は、あらゆる生物の生死を永遠と傍観するという事でもあります。また、自分と同じだけの力を持つものが他にいないという事は、想像を絶する孤独なのでしょう。心を通わせる事が出来ても、その相手は必ず死んでしまう訳ですし。
火の鳥の永遠の孤独を一時満たしたのがゴドーで、その見返りにゴドーの願いを聞き届けた火の鳥。その願いを聞けばまた永遠の孤独に戻るのに。だからこそ火の鳥は、ゴドーに永遠の命を欲してもらいたかった、自分と一緒にいて欲しかったんでしょうね。オルガの身体から飛び立つ火の鳥の気持ちを想うと、切ないです。

映画としてのまとまり、という意味では☆3つですが、是非原作を読んでみたいと思いました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • スペクタクル
  • 切ない
  • コミカル
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