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チャンプ

チャンプ

THE CHAMP

87

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5.0

小さい大人と母への回帰

1931年。キング・ヴィダー監督。元チャンピオンの男は酒とギャンブルにおぼれているが、一緒に暮らす一人息子の少年はしっかり者で父親の面倒をみている。ある日、競馬会場で金持ちと再婚した母親と再会したのをきっかけに、父、母、息子の関係が変わり始めていくが、、、という話。父の復帰戦が感動的な勝利に終わった後に父が死亡し、それまでほとんど「小さい大人」として描かれた少年が母の腕に赤ちゃんのように抱かれて終わる。それまでの大人ぶりがすごかっただけに(父とタメ口、母を女性扱い、車を運転、馬を所有など)、母へのこの回帰はすさまじい。たしかにときどき泣いたりして子供っぷりを発揮していたけど、いきなり赤ちゃん化してしまうとは。 ダメ男の父のダメぶりも、金持ちと再婚した母の個人主義ぶりもさほど強調されることがなく、だれもがほどほどによい人。だから余計に子供の独特な描き方が目立ちます。この子は町の子供たちのリーダーでもある。 コマを早送りしてスピード感を出すのはさすがサイレント時代からの職人監督って感じですが、走っているもの(車、馬、人)を走りながら撮るカメラのスピード感はすばらしい。カメラと一緒に必ず子供が走るってのもいい。走るカメラ、走るこども。

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