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ヒポクラテスたち

ガーディニア

4.0

ATG流青春の光と影

ヒポクラテスたち。まぁ〜素晴らしい映画になっております、と林美雄氏ならずともため息が出そうな若き息吹たち。 若いのは俳優だけではない、大森一樹監督28歳の作品。そして、今や重鎮になった名優たち、既に故人となった方も。皆若い! 40年前の作品ですから、何があってもおかしくは無い。 あの晴れた1980年の京都をパッケージした、青春の光と影であります。 若き研修医たちの卒業前の研修をテーマにした作品。研修の合間に若さの発散にデモ、スポーツ、喧嘩、酒、セックスに明け暮れます。 2万5千あるという病気の中で、治療が可能な病気は5千だけ。が、印象的。なかなかうまくいかない研修、だるい研修は続く。 当時は最新鋭だった、CTスキャンについてビートルズ絡みの説明をするジキルハイド氏、ベレー帽を取ったGH手塚治虫氏、怪盗鈴木清順氏の応援も楽しい。 しかし、最高の見どころは、後半の故古尾谷雅人さんの狂気のシーン! それまで、なんのことはない、ただの太陽ポカポカの青春映画だと思いきや、後半観る人全てを思いっきりズドンと黒い絶望の崖に落とされてしまうかのようなシーンが待っている。ホームドラマ的なBGMもこのシーンだけキングクリムゾン風に変わります。このBGMを担当された方、ノンクレジットだが、チンピラちょい役で出演もされておりますな。 そして我らがアイドル、か弱い隠れメンヘラ研修医役の蘭ちゃんも悲劇的なラストを迎えます。 この作品以降、ある意味キレイな8mm風な映画は経済的に望まれなくなり、デジタルで刺激的でわかりやすい作品が多くなります。ATGの終わりでもあります。 そんなアートシネマの自由崩壊直前の、記念碑的な映画、ヒポクラテスたちに乾杯。

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