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近頃なぜかチャールストン (1981)

監督
岡本喜八
  • みたいムービー 5
  • みたログ 69

4.00 / 評価:22件

造らず、持たず、持ち込ませず♡

  • bakeneko さん
  • 2018年6月26日 8時25分
  • 閲覧数 208
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1981年に岡本喜八がATGで製作した1000万円映画で、当時の世相を題材にして、戦中世代と戦後世代の意見を代弁して行く寓話映画ですが、この映画で危惧された再軍備&愛国主義的な流れが現実となっている現在の日本の傾向を予見した映画ともなっています。

退屈な日常から婦女暴行未遂を働いた青年が、ぶち込まれた留置所で不思議な老人達と出会う。嘘ばかりの日本政府に服従することに見切りをつけ、自称「ヤマタイ国」を創り上げてその閣僚を名乗る7人の老人たちは日本の国会議事堂での無銭飲食で捕まったのだった。出所後、彼らの足跡を辿った青年はヤマタイ国に帰化を許され、労働大臣として老人たちとの奇妙な共同生活を始める…という風刺寓話で、「江分利満氏の優雅な生活」、や「にっぽん三銃士 2部作」を髣髴とさせる戦中派の心中吐露映画となっていますが、そこは岡本喜八監督、生真面目な告発にならずユーモラスな乱痴気騒ぎ映画となっています。

“腐敗と嘘だらけの日本政府を見限って、独立宣言する”-設定は、同じころ話題となっていた井上ひさしの「吉里吉里人」を連想させますし、喜八監督がメガホンを取ることになっていた小松左京の「日本アパッチ族」の残滓も見つけることが出来ます。
非核三原則が最初から形骸化していたことが露呈した時期でもあり、1960、70年代の安保闘争の反体制運動も80年代では無風状態で、中曽根首相が日本をアメリカの不沈空母にするといった発言も出てくる一方で、バブル経済の始動期という-好況で浮かれているうちに日本が右傾化する路線が形成された時代の空気感覚を映し撮っている作品で、題名は“チャールストンが流行ると右傾化が進む”という学説から採られています。

大正デモクラシーで浮かれているうちに軍国主義に雪崩れ込んだ戦前を知っている世代の現在への危惧と、同じことを繰りかえす日本への見切り付けをユーモラスに描いた娯楽作で、頭のおかしい人々を通して真実を浮かび上がらせてゆく点では「まぼろしの市街戦」も連想させます。
“浮かれているうちに、いつの間にか再軍備ということになってしまうかもしれませんよ”
“政府組織の領袖や財閥の利益を守る為に命を投げだすなんて嫌だ嫌だ…”
といった台詞もポンポン飛びだす独立映画ならではの自由さが爽快な作品で、意気に感じて集まった喜八組の役者達:小沢栄太郎、今福将雄、殿山泰司、千石規子、岸田森、堺左千夫、田中邦衛、財津一郎、本田博太郎、平田昭彦、藤木悠、寺田農、伊佐山ひろ子、滝田裕介、小畠絹子と新人の利重剛&古舘ゆきも見事な怪演&熱演を見せてくれます。

音楽担当は盟友の佐藤勝ですが、スコット・ジョプリンの「メイプルリーフ・ラグ」♪が映画のテーマ曲となっていますし、本作から映画ポスターでは山藤章二の似顔絵が躍動することになって行きます。
様々な喜八映画で活躍してきた名優&珍優たちが集って魅せる風刺喜劇で、予算不足のために終盤のクライマックスでロケに使われた喜八邸もみることができますよ!(このお家はその後も何度も抵当に入れられて映画の制作費を捻り出した-喜八映画の影の功労者です♡)


ねたばれ?
1、 結構痛そうな武器:大根おろしで戦う岸田森ですが、本作の翌年食道ガンで41歳の若さで急逝します。
2、 本田博太郎の新米刑事は、同年に放映されていた「必殺仕舞人」の直次郎のセルフパロディです。

詳細評価

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