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細雪 (1983)

監督
市川崑
  • みたいムービー 40
  • みたログ 383

3.66 / 評価:109件

眼福の一編

  • まんだよつお さん
  • 2019年5月1日 17時58分
  • 閲覧数 463
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

昭和13年の春、満開の桜に始まり、霏々として降る昭和14年新春の雪に終わる豪華絢爛絵巻。谷崎潤一郎の原作を2時間に凝縮・翻案した市川崑監督の力量に圧倒される。

四姉妹を演じるのは岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子。気品すら感じる岸、おだやかな佐久間、はかなさ漂う吉永、そして自由奔放な古手川は、誰もが超アップに耐える美人ぞろい。加えて彼女たちが身につけるあでやかな着物や、春の桜、秋の紅葉といった日本美がこれまたときにアップで、ときにロングで描かれる。一転、旧家の内部は照明を極限まで抑えた撮影技術で、暗く重々しい雰囲気をよく表している。まさに眼福の一編。

戦争の影が色濃さを増す社会情勢も、戦捷を祝う号外や提灯行列、届けられる戦死公報などでさり気なく描かれ、裕福な上流階級の四姉妹の未来もけっして明るいものではないことを暗示する。

興味深いのが、ともすれば四姉妹の影に隠れて目立たない男優――石坂浩二と伊丹十三の二人。特に、次女佐久間良子の夫でありながら義理の妹の吉永小百合に恋心を抱く石坂がいい。冒頭の嵯峨野の花見シーンでも、しっかり吉永の後ろに付き従っているのだ。すぐにバレるような隠し事を続ける人の良い役は石坂にぴったり。長女岸恵子の婿養子役の伊丹といい石坂といい、この二人の脇役が物語の骨格をしっかりと支えているのがよくわかる。

そして圧巻は、長女岸恵子と次女佐久間良子の絶品の絡みだろう。本家と分家としての立場、しがらみ、あるいは家や妹たちへの思いから、ときに反目し遠慮のない口論を交えるものの、心の底では信じあっている二人を、天下の名女優が息の合った演技で演じきる。これを眼福と言わずして、何をそう呼べばいいのだろう。

おまけ。コメディ・リリーフで登場する佐久間家の女中役、上原ゆかり。マーブルチョコレートのコマーシャルで有名な子役だった彼女は、都立高校を卒業後、東京女子大学(トン女)の短大に進学した。この映画に出ていた彼女を観て、当時、同じように大学生だったぼくは友人から、「おい、上原ゆかりはトン女らしいぞ。可愛くなったらしいから、見に行こうぜ」と、よく誘われたことを思い出した。

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物語
配役
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音楽

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