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アルファヴィル (1965)

ALPHAVILLE/ALPHAVILLE, UNE ETRANGE AVENTURE DE LEMMY CAUTION

監督
ジャン=リュック・ゴダール
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  • みたログ 308

3.67 / 評価:60件

雰囲気が好き

  • bar***** さん
  • 2016年12月24日 22時48分
  • 閲覧数 867
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

アルファヴィル。ゴダール監督の作品として見た。

確かに、芸術作品を眺めるときに厄介なのが、監督としての「名」や権威、先入観であるが、できるだけこれをシンプルに考えてみようと思う。

舞台は別の銀河系の都市、アルファヴィル。アルファ60というコンピューターが都市民の思考をコントロールしており、都市民は感情を奪われている。

これをカフカの「審判」とか、現代の社会問題と並べてみるのは正しい試みではあると思う。ただ、ここで問われているのは非常にシンプルな問題で、わかりやすすぎるくらいに簡単なことだ。

性格をなくし、感情を取り払った人間は論理だけを手にどんな人工物を作り上げるのか。この映画で語られているこの問題の答えは、非常に明確で他の考えの入る隙間がないほどだ。それくらい明らさまに論理の手の粗さ、その結果の虚しさが表現されている。正直明らさま過ぎて、ここは映画の魅力の構成部分とはあまり思えなかった。

この映画でポイントだと思えたのは、近未来デザインの多様さと豊富さ、素晴らしいアイディアで、一つ一つ感心してしまった。時代相応のところもあったけど、下手に想像力働かせて無茶苦茶なものを作るより、こういう手法の方が説得力があると思う。

もう一つは主人公レミ・コーション。彼の振る舞いはまさにハードボイルド俳優まんまなんですよね。乱暴で、頑固そうで。人間についてアルファ60と論争する最中に、いやに人道的なことを語ったかと思いきや、アルファ60の施設の人間をどんどん撃ち殺していく。まるで彼らは例外で、頭がおかしくなっているからどんどん殺すべきだとでも言うかのように。彼の主張や感情の面で、説明できないところがいくつかあります。

それを監督の「名」によって、良しとするのか、つまり意味を持たせようとするのか、あるいは持たせないか……これは簡単には説明できないことです。
味がある演出とも取れるし、簡単な手落ちとも捉えることができる。だから判断はまだ保留にしておきます。

よかったのは映像表現。冷たく暗いシーンが続きます。人間味がないんですね。そこがよかった。こういうのが好きなんですよね。思わせぶりなところがないというか、無臭なところというか。
悪かったのは……自分はあまりそう(悪いと)は思わなかったけれど、評価があいまいになりそうなところで、全体に漂うB級映画感……かな。テーマの表現とか、コーションの振る舞いとか、あまりにもシンプルに済ませすぎてしまっていると思います。それが意味を逆に複雑にしてしまって、結果として監督の意図が伝わりにくくなっているように考えます。

ただ、興味がある人には見てほしいかな。これを見たからゴダールの芸術を知った、とかそういうことはいいんですが、ただこういう映画もあって、なるほど見事な映画だなあ、いい手腕だ、とか感じてくれたらそれでいいんじゃないでしょうか。

個人的にはもっと別のゴダール映画も味わってみたくなりました。独特の味わいがありますから。

追記

一つ重要な点を述べていませんでした。途中アルファ60のモノローグが何度も差し込まれます。監督の思想観が表された非常に重要なポイントだと思われるのですが、いかんせんフランスの現代思想文学を読んでいるようで、象徴的な表現も多く、なかなか理解できません。しかし、文字だけをじっと追っていればわかりそうな気もするのですが(そしてそれが魅力的で!)、映像の方がやはり素晴らしくて、そっちも気になってしまいます。

この点ももう少しやりようがあったような……自分の思想を表現するのはいいことだと思いますが、ここをうまい方法を使って切り分けて欲しかったかなと思います。どのみち何回も見るであろうDVD持ちの方は、この点素晴らしい楽しみができると思います(非常に詩的な文章もありますからね!)。

詳細評価

物語
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