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おはん (1984)

監督
市川崑
  • みたいムービー 14
  • みたログ 79

3.91 / 評価:25件

女性の 深い心の内 を描いた秀作

  • Kurosawapapa さん
  • 2014年6月10日 9時28分
  • 閲覧数 1191
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作は、妻と愛人、二人の女に惹かれる男の情痴のあさましさを、美しい上方言葉の告白体で描いた宇野千代の代表作。

五木ひろしの演歌が流れるオープニングクレジットは、かなり大胆。
濃厚な人情ものを予想させるが、蓋を開けてみると、しっとりとしたドラマが待っている。

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妻のおはん(吉永小百合)と別れ、新しい女・おかよ(大原麗子)の元へ行ってしまう幸吉(石坂浩二)。
7年後、町でおはんと再会した幸吉は、自分の子供がその後生まれたことを知る。
以後、おかよの目を盗んでは、幸吉は妻のおはんと逢瀬を重ねる。
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夫に女ができ、家を出ていくというのに、
「 (自分が至らず)堪忍して下さい 」というおはん(吉永小百合)。

現代では理解しがたいが、
当時(大正時代)女性は自分の意志で結婚できず、結婚後も全ての権利は夫にあった、そんな時代。

また、登場人物は、いつも画の中に1人か2人。
人間を浮き出たせ、昔話を紐解くように物語は進み、
それは作画的でもあるが、不思議と引き込まれていく。


・主演は吉永小百合、本作で日本アカデミー賞主演女優賞受賞。

 7年振りに夫に抱かれる肉体の火照り、 体を交わらせた後の充足感、、、

 吉永小百合は、1年前に作られた同じ市川監督の「細雪」以上に、エロチシズムを開花させている。

・幸吉が身を寄せる芸妓・おかよ役に大原麗子。
 今は亡き彼女の、自然体で生き生きとした演技は、吉永小百合以上の力量を感じさせる。

・そして、二人に思いを寄せる幸吉役に石坂浩二。
 身勝手で、甲斐性無しで、情け無い、心底どうしようもない男だが、
 子煩悩なところもあり、どこか憎めない。


ひぐらしが鳴く夏、 紅葉の秋、 木枯らし吹く冬、 満開の桜咲く春、、、
市川崑監督、得意のインサートショットが、
移り行く季節の流れと、情緒を醸し出す。



相手を傷つけるかもしれない、、、
しかし抑えることができない衝動、体のうずき。

男女の三角関係は、一歩間違えれば泥沼化しそうだが、
この三人には、 憎悪や、 怒り、 恨みは存在しない。

罪の意識、 思慮、 礼節、、、
お互いの心の傷を洗い流してしまうほどの、日本的美意識さえ存在。

 “迸るような熱い想い”  一方に存在する  “堅忍” 


終盤、おかよが手塩にかけて育てた芸妓のお仙と、駅で佇むおはんの、
意味深な “微笑み” が交錯する。

思いに突き動かされ、 身も心も開放し、 後悔し、 哀哭に立たされ、
それでも “生きる力” は、途絶えない。

女性の深い心の内を描いた秀作です☆

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • 切ない
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