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生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言 (1985)

監督
森崎東
  • みたいムービー 20
  • みたログ 74

3.41 / 評価:27件

死んだアイちゃんの残したものは

  • まんだよつお さん
  • 2020年8月15日 11時38分
  • 閲覧数 139
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

森崎東監督と言えば喜劇、というイメージが強いけれど、この映画は、原発下請け労働者(原発ジプシー)、東南アジアからの出稼ぎ女性(じゃぱゆきさん)、沖縄問題など「日本社会の闇」を描く社会派映画。喜劇の枠を超えた悲劇ですらある。

流れストリッパーのバーバラを演じる倍賞美津子は、こうした役柄がぴったり。男運には恵まれないけれど、気風が良くて頼りがいのある肝っ玉姉さん。大柄で目鼻立ちのはっきりしている彼女は、寅さんの妹役が定着している姉の倍賞千恵子とは正反対の魅力を見せてくれる。

同様に、使い捨てされるチンピラやくざを演じる原田芳雄も、その持ち味を存分に発揮している。『原子力戦争』(1978年)でも原発をめぐる謀略に巻き込まれる役を演じていたことを思い出した。

森崎監督は、この主役二人の持ち味、個性を目いっぱい引き出しただけでなく、運命に翻弄されながらも社会の片隅で力強く生きている弱者を愛情をこめて描き出す。おそらくはその意味もわからない「あふれる情熱、みなぎる若さ、協同一致、団結ファイト!」という言葉だけを土産に強制送還されるマリア。今まで知り合った男たち1500人弱の名前を暗唱するちょっと頭の弱いアイちゃん。出産を決意するタマ枝。彼女たちの存在が物語に深みを与え、喜劇と悲劇が実は裏表の関係であることを教えてくれる。

天気雨(キツネの嫁入り)に全身を濡らしたバーバラが、天国のアイちゃんに届けとばかりに、女の口ぐせを叫ぶラストシーン。それは、死んでしまった原田芳雄やアイちゃん、あるいは日本を離れ自国で生きていくアリアや、これからも流れストリッパーとしてしか生きていけない自分、つまり生きている者たちへのエールなのだろう。

「バーバラですよ、ご飯食べた?」

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