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(1985)

RAN

監督
黒澤明
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3.81 / 評価:431件

黒澤完璧主義の集大成に謎のピーター

  • KSHue さん
  • 2020年6月7日 10時10分
  • 閲覧数 472
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

黒澤映画の集大成。本人は一番撮りたい脚本だったそうな。でも「影武者」の方が先にスポンサーがついたらしい。さもありなん、架空の戦国武将の家督相続を描いたシェイクスピアのような戯曲は現代の娯楽映画としては馴染み難い。

相変わらずに美術的なこだわり、CGを使わないリアリティーの追求は凄まじい。衣装、化粧、城、馬、鉄砲、何でもリアル、史上最大のスケール。エキストラが一様に動く様は劇中の殿の命というよりも、黒澤監督自身が見えざる殿として采配を奮っているのが伝わってくる。

しかし城の周りが火山灰の高原の様な場所という非現実感が極めて奇妙に写る。阿蘇や富士山の麓で撮影したらしい。あって然るべきの城下町、庶民という情景を一切なく、まるで夢の中のような映像は大河ドラマの世界に慣れた自分にはどうにも違和感があった。この方が海外では受けるのか。

最も残念なのはキャスティング。大殿の小姓役に抜擢したピーターが酷い。冒頭から狂言もどきで無駄に目立つ、中盤からは仲代達矢と対面の芝居が続く。芝居も酷いというより煩いのだ。脚本上、このキャラクター自体、いらなかったのではないかと思ってしまう。存在が余計な上に出番が多すぎて頭から消し去れない。

仲代達矢は流石なのだが、影武者に引き続いての主演には既視感を感じる。前作で勝新太郎を降板させた監督、もはや引き受けてくれる名優は他にいなかったのだろう。二郎の重臣、鉄の役は高倉健にオファーして断られたらしい。確かに高倉健なら二郎の家中はもっと引き締って見えただろう。

その他の脇も寺尾聡や根津甚八など、無難な常連の演技は既視感の世界。何事も計算し尽くされ役者が化学反応を起こすような相乗効果は起きない。いや許されていないのだろう。そんな中で大化けしているのがまだ若い原田美枝子と野村萬斎。際立つ存在感であった。

ラストシーンのカットは美術的にも素晴らしいと思う。あのカットに役者も映像の一部でしかない、という監督のスタンスが出ているのでは?野村萬斎のいでたち、所作が目に焼き付く。これだけ記憶に残る絵というのは珍しい。

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