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ドレミファ娘の血は騒ぐ

bakeneko

5.0

ネタバレブラームス聴かない?

一旦日活成人映画として製作されながら、きっと真面目なポルノファンが怒ると思ったのか、一般作品として再編集された作品で、黒沢清の感性とプライベートな好みが最も素直に結実した“青春はずかし物語”の怪傑作であります。 憧れの人を追って大学を訪れた女の子が体験する“ハチャメチャな青春の発露”を、ミュージカル+お色気描写+実験的映像をごちゃ混ぜにして暴走して魅せる作品で、ゴダールの「気狂いピエロ」を彷彿とさせるノンストップ暴走を豊かな詩情を込めて描いています。 大学生+教授の不条理で突飛な行状に、青春期特有の“はずかしい&間の悪い&未熟な”感覚を上手く現出させていて、ラストの子守唄が印象的なブラームスの曲を始めとして、バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2第1曲アルマンド、ビゼー:『アルルの女』〈ファランドール〉、淡谷のり子の『ルンバ・タンバ』…そして“小津安二郎映画「秋日和」のテーマ曲”まで、ヒロインの冒険に合わせて奏でられる“音楽と映像のコラボレーション”も不思議な詩情を感じさせてくれます。 全く先が読めない不条理な展開の、“理解するよりも感じる♡”不可思議映画ですが、後の黒沢作品のモチーフを既に沢山見つけることが出来ますよ! ねたばれ? 確かにあんなゼミなら出席したいよなあ~ オマケ(黒沢清のTV短編作品のレビューを) 氷が階段を落ちてくる!(これがほんとの学校階段!) 「廃校怪談」(「学校の怪談f」より、1997年26分) 出演:池乃めだか、ベンガル… 廃校になる中学校で整理清掃を行っている在校生が遭遇する様々な怪異を、明るい昼日光下に見せていく怪談で、“怪異の正体”に一捻りがあります。あまり恐くないのでお子様でも大丈夫なお話で、恐さよりも廃校という非日常がきっかけとなって現出した“不可思議な存在&終末感覚“が愉しめる作品であります。 インチキしちゃ駄目だよ! 「木霊」(「学校の怪談G」より、1998年27分) 出演:内田春菊、前田亜季、池乃めだか… ヒロインの透視能力を検証するために放課後の学校でかくれんぼ部屋当て検証を試みた生徒が遭遇した奇怪な存在の恐怖をノンストップで活写していくもので、透視能力の可視化映像や、座標上の怪異との追いかけっこ(「エイリアン」の影響を受けていますな)がサスペンスを煽っていきます。 最後に姿を現す妖怪の由来&正体が全く説明されない唐突さにも面食らう“妖怪との追いかけっこ映画”であります(だれか木霊の正体を教えて~)。 いじめた側が逆呪いを掛けると… 「花子さん」(「学校の怪談 春の物の怪スペシャル」より、2001年24分) 出演:京野ことみ、加藤晴彦、加瀬亮… 学校に集まった高校の新聞部の同窓生男女が、いじめの対象となっていた少女の消滅をトイレの花子さんに願うが、出現した花子さんが暴走して…という恐怖譚で、花子さんによって次々と同窓生が犠牲となる「13日の金曜日」パターンが展開します。黒い影となって迫ってくる怪異ビジュアルが恐いサスペンスホラーで、いじめは良くないことがわかります(でも、一人だけ助かる人も居ますよ)。 さあさ皆で“タイムスリップ♡” 「タイムスリップ」(「愛と不思議と恐怖の物語」より、2002年10分) 出演:大杉漣 「恋はデジャ・ブ」の様に“同じ日常が繰り返される=タイムループ“現象に陥った物理教授が、当惑、抵抗、破れかぶれ、崩壊…していく様子を、講義室の据え置きカメラ映像としてセミドキュメンタリー編集記録の様に見せる作品で、パニくる大杉漣の一人熱演に魅入る映画となっています。 とんでもない状況で威厳と正気を保とうと奮闘する主人公に爆笑させられる一編で、“一体何回撮ったんだ?”と訊きたくなって来ますよ!

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