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ドレミファ娘の血は騒ぐ

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4.0

恥から快楽へ

1985年。黒沢清監督。先輩を追って上京する女性が大学の自由の風に触れるという話。監督と主演の洞口依子にとっての出世作。成人映画的に裸の女性がたくさん出てきて、かつコメディ的であり、そして学生映画のように実験的。これで商業映画なのですからさすがバブルというべきでしょう。伝説のディレクターズ・カンパニー。 伊丹十三の心理学教授が唱える「恥ずかしがり理論」は、つまり「恥」こそが愛の源泉だといことで、かつて宮台真司さんが似たようなことをいっていました。しかし学生たちに「恥」はなく、いたるところで「快楽」を求めています。こちらはさしづめ東浩紀さんの「動物化」ってところでしょうか。「恥」から「快楽」へ。時代の変化をとらえた映画か。 洞口依子が「恥」を知る女性ということになっていて、終始、純情なイメージで描かれますが、最後には「快楽」の側にいっているらしい。ラストシーンはなぜか戦闘場面なのですが、大学=快楽を含めた自由=戦争、と何度か言及されていますから。 恥と快楽以外にも、見えるものと見えないけれど認識可能なもの、音楽と言葉、大学と田舎、男と女など、分かやすい二分法もふんだん。最初から最後まで「音楽だけは純粋に美しい」という信念に貫かれています。心理学とはいえ、フロイト・ラカンへのなにげない言及もあったりしてにくいです。時代を割り引いてみましょう。

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