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必殺!III 裏か表か (1986)

監督
工藤栄一
  • みたいムービー 8
  • みたログ 121

3.75 / 評価:44件

誰よりも愛された最強の仕事人

  • nan***** さん
  • 2020年5月1日 10時22分
  • 閲覧数 343
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

やはり、演出面での”育ての親”は違う。
本作と次作の評価が概ね安定しているのは「シリーズ全体」を捉えた制作体制がしっかりと責任を持って行われた事実が大きい。正しくザ・ムービーの名に恥じない出来栄えだ。一作目のレビューでも書いたが映画には映画の強みがある。結果論は戦闘シーンという中々困った一面はあるが重厚なストーリーがこれら二作は見事に克服である。尚且つ、必殺の伝統美学も忘れていない。
本作は綺麗ごとを排したTVシリーズ前期寄りの構成だが、ここは評価が割れている。工藤監督映画はだいたいそうらしく、これは一つの”お約束”かもしれない。壮大なデータを辻褄を合わす為に苦心しても前半のもたつきは隠しきれず一番の驚きはラストの改訂であろうか。実は徳次は主水・秀の共闘で落命する流れだったそうだが、これを採用するとおこうの存在意義は宙ぶらりんとなる。それを回避する為の措置だったのだ(尚カットしたシーンは全て破棄するのが監督のポリシー故完全版は望めない)。
主水の女癖に苦言を呈する向きもあるようだが、これは別に殊更槍玉にすべきでもあるまい。後期では普通人に描かれ過ぎた為に勝手にそう思われているだけである。朝丘雪路、中村玉緒とTVで浮名を流した女優は結構いるし、せんりつも女性の厠を覗いた主水を罵倒した事だってある。今更黒歴史ではない。
とはいえ、今作のダーティな主水は中々際どい。仲間の仕事人も単なる巻き添えだ。清廉な政も本音を隠さず健闘。用心深い竜も野暮な自己主張がなくなったのは好評価。壱の熱い助っ人ぶりは面目躍如。情けない加代もシリアスとの使い分けがよき色気だ(自分のミスで参を見殺しにせざるを得なかった絶望感!)。工藤監督は後期のメンバーでも等しく”愛情”を忘れていないのだ。また、お馴染みのBGMに関しても手堅く隙の無い選曲で前2作の様な歪な不快感は皆無。
本来なら全滅してもおかしくない状況なのに辛くも生還を果たしたのは単なる僥倖ではなく、成長したカムバック秀の熱い細やかな友情が唯一の良心だったからなのかもしれない(そして、最大の見せ場でもある)。

主水と秀、この二人には負けられない理由がある。
例え無様に仲間が斃れようとも、自分だけは生き残る。
必殺にヒロイズムは似合わない。流石工藤栄一監督作品。
やはり時代劇は日本の誇るべきハードボイルドでなくてはならない。
必殺はギリギリで踏みとどまっていたのだが、今は只々残念の極みだ。
誰よりも多くの悪を葬り、誰よりも愛された最強の仕事人。
中村主水は永遠に不滅である。仕置人・念仏の鉄も。

詳細評価

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