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植村直己物語 (1986)

監督
佐藤純弥
  • みたいムービー 43
  • みたログ 198

3.82 / 評価:50件

山の神に命を捧げた

  • doneter874 さん
  • 2019年2月20日 14時10分
  • 閲覧数 520
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

板橋区仲宿の行きつけのトンカツや「奴」で、のちに奥さんになる公ちゃんに自分の本「青春を山にかけて」をプレゼントし、それを読む奥さん目線で植村さんの大学卒業後の冒険を振り返るストーリーから始まり、結婚後の犬ぞり、マッキンリー遭難までの人生を追っています。
映画だからか、本人たち以外の登場人物の名前は少し変えられていましたが、セリフも植村さんの著書に出てくるものが多く、忠実に再現されているのだな、と思いました。
主役の2人も脇役もいい味だしていて、昭和の映画って感じがして良かったです。

山登りを知らない私は、途中のゴジュンバカンとエベレストの映像が同じに見えたり、犬そりも1万2000キロと北極点も別物の冒険ですが雪や山の服装も似たり寄ったりなので、中だるみしてしまいましたが、何度か見返すとわかるように。本物のロケ映像は圧巻。
山って社会の縮図と一緒で、アタックできる人、歯車になって終わる人、体調不良になる人…植村さんのようにエーデルワイスのように自分たけの納得のいく単独の山登りをしたいという考えに共感しました。

この映画をみてすっかり植村さんに興味を持ち、本や映像を見れば見るほど人間性に惹かれていきました。日本人ならではの考え方、人を立てて自分に厳しい。文章力のすごさ。本人は無職だと謙遜するでしょうが、相手の気持ちや、先が見えすぎて、気を遣いすぎてしまう天才ならでは方の気がします。

現地に溶け込んで、経験することが技術と言っていた植村さん。ほんとに写真を見ると、場所によって役者のように顔が違う。普通のおじさんの時もあれば、現地シェルパかと思うような同化した顔、養子のイヌートソアとは本物の息子のようないい顔してるし、北極点到達の時の写真なんて英雄のようないい顔。最後のマッキンリーの映像で「とうとう来た」とほほ笑む姿は少年のよう。
その飾らなさが、愛される秘訣だったのでしょう。

この映画で疑問に感じたのは、奥さんが「貴方は社会では落ちこぼれだけど、肉体で自分で証明したいからでしょ!」と叱責しているシーン。
時代のせいや、映画だからかもしれませんが、「社会でおちこぼれ」って奥さんが言っちゃうのはなぁ。本人はいつも謙遜して社会で働いている人が偉いって言ってましたけど。冒険が好き、これしか自分にない、ってわかっているから、やりたいからやっているだけで、「社会に証明するためにやっている」ってニュアンスが、違う気もしました。
実際植村さんのようなタイプは社会に出ても絶対成功するはず。ストイックにやりこなして、身一つで外国で外交してきちゃうくらいなんだから。

マッキンリーは、南極の足掛かりのためでもある登頂だったのですね。冬季エベレストと南極の失敗は、自分の努力ではどうにもすることのできない、まさに厄年の始まりって気がします。そして、43歳の誕生日にマッキンリー登頂成功。これでデュポン社にスポンサーについてもら長年の夢の南極への道が開いたところだったのに…。
記憶喪失になっててどこかで助かってて、アラスカやエスキモーたちと幸せ生きててほしいなと思いつつ、奥さんの元にも帰ってきてほしい気も。

あと、音楽が最高です。ジーンときました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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