レビュー一覧に戻る
子象物語 地上に降りた天使

syu********

2.0

動物を題材にすると心優しくなる

東京上野動物園秘話。東京が都政を敷いて間もない昭和18年(1943年)の出来事であり、東京都として最初期に行った動物園行政が飼育動物の殺処分命令であった。実際に殺処分命令を出したのは、初代東京都長官となった内務官僚・大達茂雄であった。多くの物語で直接の軍の命令とされているが正確ではない。各動物園の職員達は反対したが、食糧事情の悪化などもあり、結局戦争が終わった時には殆どの動物は死を迎えていた。上野動物園にはこの象舎の直ぐ傍に動物慰霊碑が建立され、この戦争で命を落とした動物たちに対しての慰霊の行事は、終戦後60年余を経た2008年現在も続いている。上野動物園の「動物慰霊碑」の位牌には「殉難猛獣霊位」と記されている。 戦後の上野動物園は、象やライオンのいない動物園であった。かつての象舎には豚が飼われていて、まるで家畜園であった。そんな時期に、台東区子供議会は「上野動物園に象が欲しい」と決議し、終には印度のネール首相をも動かして、上野の山に「インディラ」(象の名)を迎えることができたのであった。まだ街の彼方此方には焼跡が残り、人々は食糧難に苦しんでいた時代であったが、台東区の子供達のこの快挙は、子供達にとっては大きな希望の光となり、暗い世相に明るい話題を投げかけ、日本の社会も、国を挙げて喜んだ。

閲覧数893