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野ゆき山ゆき海べゆき (1986)

監督
大林宣彦
  • みたいムービー 13
  • みたログ 127

3.44 / 評価:45件

怪しすぎる反戦映画

  • fuj******** さん
  • 2020年7月23日 9時35分
  • 閲覧数 532
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

大林宣彦は全然ブレていなかった!
こっちが気付いてなかっただけ!
ノンポリを装っていたのは、シャイな性格ゆえの演技だったのだ。
本作は同監督による、おそらく初めての反戦映画で、私は多分初見。

最晩年の巨怪な作品群とは明らかに一線を画する。
この時点では正面切って反戦を謳うのに気恥ずかしさがあるのか、
コメディ基調で子供を主役に無邪気で天真爛漫、なんとも微笑ましい。

それでも「怪しい」ことに変わりはない。
まず全編奇妙な棒読み口調。どうやら演出上の意図があるようだ。
ちょっと実験的な素人っぽさが大林作品の特徴。
わざとやって面白がってる。

これが「第一回主演作品」となる鷲尾いさ子、独占の迷演である。
無機的な美しさと初々しいぎこちなさが同居して愛おしい。
大胆な沐浴シーンは我慢比べの観客へ、監督からのご褒美だ!
知ってたら映画館へ急行したのに!なぜ知らせてくれない?

前半は少々大人びた転校生編入に端を発する「わんぱく戦争」。
戦争ごっこを通して帝国主義下の戦争そのものの意味を問う。
わんぱくって……死語?って感じだが、ここまでは至極順当。

後半は、ちょっとアングラっぽい「お昌ちゃん掠奪大作戦」。
すっぽんぽんに白塗りって……どうなの?まだ子供だし。
今なら放送コードに引っ掛かって蹴つまずきそう。
しかし人買いという世の不条理に子供が反抗する展開は痛快である。

いずれも大林が生きてきた時代の匂いが濃厚に漂い、
いかにもこの人らしいファンタジーとノスタルジーが全編に展開する。

さらに本作には三つの異なるバージョンが存在する。
同時公開されたモノクロ版とカラー版に加え、後のTV用編集版がある。
映画のテーマからすると「質実黒白オリジナル版」ことモノクロ版が本命。

今回私が観たのは「豪華総天然色普及版」と称すカラー版だが、
終盤に大林らしい仕掛けが施され、最大の見どころとなっている。

尾道三部作完結編『さびしんぼう』との二本立てでの鑑賞。
この老舗名画座では今年いっぱい、大林作品の追悼企画を順次遂行とのこと。
その第一弾とした二本の選択が絶妙だ。いつも唸らされる。

ま、誰も読んでないだろうから書くけど、
都内に住んでて、ここを利用しないって手は、ないよね。
こういうご時世だから無理にお勧めはしませんけど。
へっへっへっへっへ……。

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