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森の伝説 PART-1 (1987)

監督
手塚治虫
宇井孝司
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3.50 / 評価:2件

あくことなき実験精神の賜物

  • pin******** さん
  • 2008年8月13日 8時29分
  • 閲覧数 310
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

手塚治虫の実験アニメ、最後の作品になるのでしょうか。

手塚治虫の死によって未完となってしまったもののようです。

チャイコフスキーの交響曲四番にのせてアニメーションの歴史が綴られています。

作者の死によって未完となったことや、最初の部分と最後の部分だけが残されたこと、またアニメーションの歴史が描かれていることなどから、『火の鳥』との因縁を感じさせる作品でした。

さて、手塚治虫は一つの作品内で、さまざまなアニメーション手法を比較させることが好きなようですが、それがもっとも楽しめる作品かもしれません。

特に第1楽章のアニメーションの歴史の部分は、ゾートロープ(のぞき穴アニメ)からはじまり、「恐竜ガーティ」のパロディからディズニーのカラーアニメにいたる、初期アニメーションのさまざまなパロディを見せてくれて、楽しいでしょう。

手塚治虫にとってのアニメーションの頂点はディズニーだったのでしょう。

第1楽章の最後がディズニーばりのカラーアニメーションで終わることがそれをよく示していると思います。

極端なことを言えば、手塚漫画のすべてはディズニーからインスパイアを受けたとも言えるでしょう。

彼は、結局アニメーションにおいてはディズニーの呪縛から逃れることは出来なかったのではないでしょうか。

そのことは特に第4楽章の完成度の低さに如実に現れているように思われます。

第4楽章では、フルアニメの森の動物や妖精たちがリミテッドアニメの森林開発の人間たちに侵略されていく物語です。

フルアニメの部分はディズニーを意識したキャラクターが登場するのですが、その動きは、リミテッドアニメとのバランスもあったのでしょう、ライブアクションをもとにしたディズニーのアニメーションの足元にも及ばず、華麗さはまったく感じられません。

いっぽう、リミテッドアニメの建設機械や作業員のほうは、さまざまな実験アニメや膨大なテレビアニメで培ったテクニックのおかげでしょうか、かえって生き生きとしています。

手塚アニメの本領は、極端な省力化の末のリミテッドアニメにあったのではないでしょうか。

先日、『鉄腕アトム』(モノクロ)の初回を見たときに、リミテッドアニメとしての質の高さ、旺盛な実験精神に驚きました。

少なくとも『鉄腕アトム』の初回放送分は後のテレビアニメの系譜に入れるよりも、多くの実験アニメの系譜に入れたほうがふさわしいのではないでしょうか。

多分、手塚治虫自身もそのことをうすうす感じていたのでしょう。

それで、フルアニメで動かすべきところを躊躇してしまったのではないでしょうか。

ディズニー調のフルアニメへの憧れと自分の生み出してきたテレビ調のリミテッドアニメへの自負の間での戸惑いが第4楽章には現れているように思えます。

なお、第1楽章は『モモンガのムサ』が原型になっているとのことです、第4楽章は『マンションOBA』あたりを思い出させました。

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