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紫式部 源氏物語 (1987)

監督
杉井ギサブロー
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  • みたログ 19

2.67 / 評価:3件

「妖しい桜吹雪と光源氏の心の闇」

  • hoykita194 さん
  • 2008年12月19日 12時48分
  • 閲覧数 1386
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

 アニメなので、子ども向けかと思ったら、まったく違った。完全に一般向けの作品である。
 描かれているのは、雨夜の品定め、夕顔との逢瀬から、右大臣の策謀による、須磨への追放の前まで。

 舞い上がる桜吹雪と桜の花びらを散らした着物が、全編を通して象徴的な役割を果たす。華やかな桜吹雪は、この物語では、美しさよりも凶兆を暗示し、同時に光源氏の心の闇をあらわしている。

 六条御息所は、伊勢の斎宮として神に嫁ぐ身であり、ほどなく都を離れねばらない。一方、葵の上が、源氏の子を懐妊する。嫉妬のほむらが六条御息所を夜叉にする。御息所の無意識の怨念は、生霊となって葵の上に取り憑き、その息の根を止める。
 あわれなのは、葵の上だけではなく、六条御息所も同様である。

 須磨隠棲を控えたある夜の、藤壺との密会。
 源氏は、春宮(とうぐう)が、藤壺と自分との子であることを、藤壺に認めさせようとする。そして、おのれの思いのたけを、藤壺に吐露する。
 ところが、藤壺は、亡き先帝から聞いた話として、光の母桐壺の更衣に自分が生き写しだと聞いたと、源氏に告げる。

 「ほんとうにわたくしなのでしょうか。あなたが求めておいでなのは」

 藤壺のことばは、源氏の心の奥深くをえぐる。

 このアニメは、源氏の華やかな女性遍歴の深層に、満たされない心の闇がひろがっているさまを描いた作品だといえる。
 よくできていると思うが、全体として、華麗というより、動きが乏しくやや地味な作品である。暗示的、象徴的表現が多く、大まかにでも原作の流れを知っていないと、テーマが伝わりにくいかもしれない。

 細野晴臣の音楽がよい。

詳細評価

物語
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