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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より- (1956)

UN CONDAMNE A MORT S'EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT/A MAN ESCAPED

監督
ロベール・ブレッソン
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4.27 / 評価:64件

解説

『ラルジャン』などのフランスの巨匠、故ロベール・ブレッソン監督による究極の脱走劇。ナチス・ドイツに抵抗するレジスタンス運動に身を投じ、収監された青年がどうにかして脱獄しようと地道な努力を重ねる姿をつぶさに見せる。主人公は、後に『さよならエマニエル夫人』の監督と脚本を務めたフランソワ・ルテリエ。50年以上たっても色あせない、1957年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した実力作。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1943年、ドイツ占領下のフランスのリヨンで、フォンテーヌ中尉(フランソワ・ルテリエ)はドイツ軍に連行される。彼は移送中に車からの脱走を試みるが失敗し、手錠を付けたままモンリュック監獄の独房に入ることになる。やがてフォンテーヌは自室の小さな窓を使い、中庭を散歩する囚人の一人に外部との連絡をとってもらうことにする。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)1956 GAUMONT / NOUVELLES EDITIONS DE FILMS
(C)1956 GAUMONT / NOUVELLES EDITIONS DE FILMS

「抵抗/死刑囚の手記より」一切の感情移入を排したその簡潔で禁欲的なフォルムに驚嘆させられる

 ジャック・ベッケルの「穴」と並ぶ<脱獄もの>のジャンルの最高傑作である。ロベール・ブレッソンは、職業俳優を嫌い、素人を使って、通常の劇的な喜怒哀楽の表現、誇張や虚飾を剥ぎ取ることに専心した孤高の映画作家だ。ドイツ占領下、フランス・リヨンの監獄に、脱獄に失敗したレジスタンス派のフォンテーヌ中尉が収容される。映画はあたかも主人公の獄中記のページをめくるように、彼の行為を細大漏らさずに描写する。ここでのナレーションは単なる心理の説明ではなく、独房に隔離された彼の絶望、死の恐怖、そして微かな希望が永劫に反復される孤独な魂の表白そのものと化すのだ。

 とりわけ、主人公の<手>のなまめくようなクローズアップが忘れがたい。スプーンで扉の板に亀裂を入れ、採光窓の枠を鉤に加工するといった一連の気の遠くなるようなシジフォス的な動作が、定点観測のように冷徹にとらえられる。一切の感情移入を排したその簡潔で禁欲的なフォルムには驚嘆させられるが、いっぽうで、熟練の技芸家を想わせるエロティックな<手>の運動が、獄内に棲息する同士たちの<希望の原理>と遥かに共鳴し、恩寵と化して、主人公の命がけの飛躍を静かに保証するのである。地獄の底から聞こえてくるような、深夜、獄舎を巡回する自転車の不気味な軋む<音>が、見終わっても耳に永く残る。寡黙、厳粛の代名詞として語られ、神格化されがちなブレッソンの作品は、息詰まるようなサスペンスを孕む根源的な恐怖映画でもあるのだ。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2010年3月25日 更新

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