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死の棘 (1990)

監督
小栗康平
  • みたいムービー 61
  • みたログ 199

3.71 / 評価:92件

竹垣に注目

  • kra***** さん
  • 2017年10月4日 18時48分
  • 閲覧数 2030
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

「海辺の生と死」の後に見たため、それぞれに足りないところが補完されて、この夫婦がとても魅力的に思えたので、両方見るのをお勧めしたい。
特に「海辺の生と死」では初々しい手紙のやり取りが印象的なので、「死の棘」での愛人から手紙が届く場面で背筋がゾワッとした。
特攻隊所属だった夫とその妻が、戦後また別の意味で生と死に翻弄される毎日。社会と規範の急速な変化が、夫婦の土着的な魂と魂のぶつかり合いと対比され、孤独や奇異さ、滑稽さをより一層際立たせる。
ボロボロの竹垣が二人の象徴だと感じた。今にも崩れそうで、崩れない。しかし妻がそれを新しくしたいと言い出し、木の塀を作らせてしまう。木の塀だけが新しく白く浮き、以前に増してしっくりこなくなってしまった。
妻が島唄を口ずさむので、島に帰れば落ち着くかとの目論見も失敗する。戦中の事を思い出させるし、一度都会に出てしまったから、よそ者感がどうしても出てしまう。
住む場所、帰る場所、気持ちの行き場がなくなっていく中で、結局は夫は妻を、妻は夫を拠り所とするより他はない。
紐に首を掛けるシーンでは大笑いと共に唸らさせられた。二人の生き方をそこに見出した気がしたし、直後に着物(奄美の大島紬?)を掛けてあげる場面では、涙が出た。夫の浮気調査で着物を売り払った妻だが、紬は売らずにおいたのではないか。確かに妻は心の病気ではあるが、芯の芯では正気を失っていないように感じた。
他にもロボ化した夫にサンドイッチを作る場面、線路に向かって追いかけっこする場面、平和なお正月から一転ホームでの怒号、愛人との取っ組み合いなど、記憶に残る面白さだった。岸部一徳を配役したことが大いに功を奏している。
今後は互いを紐でくくり、竹垣のような絶妙なバランスで均衡を取り合って生きていくのがよいと思う。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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