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天と地と (1990)

監督
角川春樹
  • みたいムービー 25
  • みたログ 465

2.75 / 評価:186件

大スペクタクル

  • bar***** さん
  • 2017年12月5日 23時28分
  • 閲覧数 1078
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

天と地と。主人公は長尾景虎(後の上杉謙信)。長尾家相続から第四次川中島の戦いまでを描く。
意外と低評価でありますが、わけを聞けば納得です。
原作にないオリジナル要素は、私はあまり気にならないのですが、歴史における定説と違う説を採用するのは、いささかリスクのあることで、視聴者の中に歴史に詳しくない人がいると、間違った印象を与えかねないので、ある程度配慮する必要があると思います。ナレーションを入れて、これは独自の解釈であることを示したり、あるいは突飛な表現を入れて、これは確実にフィクションであることを示すことが必要だと思います。

私はこの映画は、そういった歴史ものを取り扱うときのルールをきちんと守っていないような印象を受けました。微妙な違い、ほんとうに微妙な違い(第四次川中島のとき、謙信はまだ謙信と名乗っておらず、正しくは上杉政虎(まさとら)だったとか、「赤備え部隊」という言葉にもあるように、鎧を朱色に塗ったのは精鋭部隊の証、つまり軍全体が赤い鎧を纏っていたわけではなかったこと。赤い鎧を着ていたのは飯富虎昌(おぶとらまさ)率いる精鋭騎馬隊だった、などなど)……歴史に詳しくない人が見抜くにはちょっと難度の高い嘘で、ちょっと戦国時代を知っている人間には簡単すぎるレベルの嘘、この絶妙さ加減が、批判を呼んでいるのだと思われます。

また宇佐美定満の死も、定説では長尾政景(まさかげ)の謀反を知って、水遊び中に謀殺しようとしたところ、共に溺死してしまったというものですが、この死には諸説あります。しかし今作では宇佐美が裏切って殺されたことになっていますが、この「諸説ある」をきちんと視聴者に示しているとは思えません。

また(多すぎてごめんなさい)上杉謙信ですが、自分の今まで知っていた「軍神」というイメージとはかけ離れた普通の武将という印象だったなあ、と感じました。もっと超然として、毘沙門天の化身として、義の男として、力強くも美しい姿をずっとイメージしていたのですが……(これは完全に主観ですね。すみません)。

また、合戦の様子もちょっと……。
エンターテイメントとして割り切っても、また歴史に詳しくない人に間違ったイメージを与えかねない、突飛な演出だったので(武田信玄との一騎打ちなど)……。
実際にああいうことがあったのか? それはハッキリとは言えませんが(一騎打ちっぽい像もあることですし。持っているのは軍配ですが)、戦争ということを考えても、武田信玄の武将像を考えても、ちょっと考えにくいことだと思います。「人は城、人は石垣、人は堀」という言葉にもあるように、信玄は部下を信頼する人でした。間違っても一人で闘おうという人ではなく、皆で一丸となることで事を成そうとする人だったと思います。それが信玄の強さです。
じゃあ一騎打ち象はどうなるのか? あれは本当にあったことかどうか分からないのですが、どうも政虎が超人的な勢いで信玄の本陣をぶち割って、刀で斬り付けた、というのがニュアンスとして正しいようです。信玄に一騎打ちの意思があったという説とは明確に違いますね。

こういった事情が重なり合って、批判されているのだと思います。そして、いくらエンターテイメントとして割り切れといったところで、やっちゃいけない限度というのがあると思います。最低限「これは諸説ある」や「フィクションである」ことを明確に示すというマナーを守るべきですし、出来うることなら史実に沿った形でエンターテイメント性を出す努力をしなくてはならなかったと思います(それが出来ないと分かっていたからこそのこういった形なんでしょうが)。

ですがそういった事情を織り込んでも、良いところは存在します。
スペクタクル、ですね(^_^;) なんか褒めるのが今さらですけど。すごい人数で戦場を満たすのは、一度は見てみたかった光景ですし、ぜひ一度やって欲しかった事でもあります。
また役者の演技はなかなかよいと思います。演技派揃いで、粗が見当たりません。
まあ見せ方は良くないのですが……俳優の良さを潰すような演出とカメラワークで……(スターの共演という事情も絡んでいるとは思いますが……一人をひいきするような映し方が難しいので)。

そういった点を加味すると、これは★3かなあ……と思います。
上杉謙信の超然としたキャラクターを見ることができたら、それだけでも評価を上げたかったのですが、そうではなかったので……。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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