作品レビュー(1件)

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  kin********2021年10月17日 11時24分

  4.0点

  演劇的

  秋元松代原作の力でしょうが、底流を流れる人間観察はしっかりしていて考えさせられます。信仰を持つことの意味、大半の庶民はそんなこと深く考えずに付和雷同して神聖なものを崇め、悩みを忘れようとする。それを非難するわけではなく、人間とはそういうものだ、と達観しています。 　そんな娯楽性とは縁の薄い内容を、さすがは熊井啓監督、珍しく喜劇的タッチで味付けし、格調高い映画に仕上げています。もちろん、岸惠子、香川京子、奥田瑛二ら、豪華キャストが集まっているからこその仕上がり。俳優座の重鎮新橋耐子も良かった。原田美枝子も悪く無いですが、メイクと衣装に違和感。狙いは分かるのですが。 　製作年度は1990年となっていますから、企画はバブル期のものでしょう。原田美枝子もジュリアナムードを引きずっているのかも知れません。 　トップにSEIYU作品とクレジットされます。日本には金が溢れていた時代だからこそ実現した、現在では不可能に近いと思われる貴重な作品です。

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