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江戸城大乱

サンゴ

1.0

ネタバレ酒井大老のやりたい放題でくだらなすぎる

NHKBSプレミアムの番組表でちらっとあらすじを見ただけで、てっきり八代将軍吉宗の跡目争いの話だと思って録画した。 吉宗なら西田敏行さん主演の大河ドラマで見たことがあるので興味があったし、紀州筋がどんどんライバルを消していく陰謀策略とか面白そうだし。 しかし、それはまったくの勘違いで、この映画は四代将軍家綱から五代将軍綱吉にかけての跡目争いの話。 病弱な家綱には子供がなく、次期将軍には甲府、尾張、館林(綱吉)の三家のうちから選ばれることに。 いったんはもっとも正当で無難な神田正輝演じる甲府の綱重に決定したのだが、暗殺されてしまう。この映画では、これは尾張の策略となっている。 大老酒井を味方につけようと、尾張一味と館林一味、もっぱら十朱幸代演じる綱吉の生母桂昌院が争う。 血で血を争う醜い跡目争いの中で酒井は尾張も館林もどっちも嫌になり、五代将軍を宮家からもらうというトンデモ案を強行しようとするが、病床の家綱自身が却下、実の弟である綱吉についでほしいと言う。 だが諦めず、家綱最期の時に遺言を捏造、家綱自身が甲府の綱重の息子豊松を跡継ぎに指名したと言い、幼い豊松を立てようとするが、実は家綱は直筆の遺言書を書き残しており、おつきの女中に託していたのだった。 そこで指名されていたのが、館林の綱吉。 大老酒井の陰謀が発覚、江戸城の中で斬ったり斬られたり大変なことに。 ここで謎なのが、なぜ大老酒井はこんなにも綱吉が継ぐのを嫌がったのか、ということで。 一応最後のどんでん返しのオチとして、綱吉は実は自分の息子であり、将軍の血は引いていないので、どうしても次期将軍にしたくなかった、と告白するのだけど。 これで納得する人いるのかね。 自分の子だったとしても、誰もそれを暴露する者などおらず。 実は父親が誰かなんて、誰が興味あるんだ。 証明する手立てなどないのに。 それよりも、あんたが招いた大混乱のほうがよっぽど将軍家に大ダメージを与えているというのに。 大老酒井にとってはこれが侍としての正義だったらしい。 バカバカしい。 死にゆく酒井の体を抱きながら、かつてこの男の愛人だった桂昌院も言う。 「これぞもののふ・・・」 嘘でしょ。こんなのもののふどころか、最低のバカ男でしょ。 とまあ、この映画は松方弘樹演じる酒井大老主演のダーク・ファンタジーといったところか。 酒井はやりたい邦題で、なぜそこまでコイツに権力が集中しているのかさっぱりわからない。 映画の中では、四代家綱を医者に命じてゆっくりと毒殺し、綱吉も最後の最後まで暗殺しようと画策している。 それも、跡継ぎに指名されて江戸に向かう綱吉の一行を、橋にしかけた爆弾で殺そうとする派手で頭の悪い陰謀。 あーバカバカしい。 ここまでするなら酒井自身をものすごく魅力的に描く必要があったと思うが、そんな演出はない。 だからずっと「なんでこのオッサンがここまでできるんだ、それを説明しろ」とイライラする。 実にくだらない映画だった。 ただ、役者陣は本当に豪華で、綱吉役は若き日の坂上忍さん、他にも丹波哲郎さん、池上季実子さん、野村真美さんなど、芸達者な面々がそろう。 酒井と並ぶ主役の一人だったのは、堀田備中守正俊役の三浦友和さん。 主役級なのに、この人の立場や、この人が何してるのか最後までよくわからなかった。 で、最後に思ったこと。 やっぱり大河ドラマ「八代将軍吉宗」は面白かったなあ。 最初のほうの陰謀の数々、わくわくした。 あんなのが見たかったのに残念。

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