トパーズ

R18+103
トパーズ
3.3

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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(4件)

悲しい11.5%セクシー11.5%切ない11.5%不思議7.7%かわいい7.7%

  • mfr********

    4.0

    今も変わらぬ現代社会のクレイジーな深層

     映画には、90年代の東京都心部の高層ビル群が鮮烈に映し出されている。新宿の都庁周辺の景観など、今見ても近未来SFのような都市イメージが坂本龍一のテクノをBGMにして軽快に流れてゆく。  だが、映画はそのクリーンな都市の醜悪な中身を暴きだしてゆく。そこは高級ホテルの室内、ヒロインは売春婦、アイであり、彼女はインテリやヤクザや変態やセレブ、様々な社会階層の男たちを相手に、求められるがままプレイに励む。そのどれもがSM趣向の過激なセックスだ。高層ビル群の洗練された外観とホテル室内の野蛮極まりない中身。その対照性が東京という街を浮き彫りにする。  現代社会の持つ両極性にこれほどズバリと切り込んだ映画は中々観れない。ビルディングに代表される物理的な先進性とSMに代表される精神的な退行、その文明と狂気の2つを等しく描く事で、村上龍は世界基準で現代というものをみごとにシンボライズさせている。  それは21世紀を10年以上過ぎた今もなお、シンボルとしての力を失っていない。今、日本では風俗産業の衰退や草食系男子の増加などで、一見、性的にクリーンになったように見える。だが、それは外面に過ぎず、AV産業やネットポルノの成長は続き、その中身はより過激なものになっている。この映画では性的野獣はホテル室内にいたが、それが現代ではそれより奥、つまり個々の室内に移行したのである。  天野小夜子演じるSM嬢は、こんなセリフを口にする。「日本はお金持ちになったけど、それはプライドのないお金なの。だから不安になった男たちはマゾになるのよ」   それはまさに当時、バブル崩壊時の日本全体を言い表す言葉だ。心理学者、ユング流に言えば、個性がなく自己不信に陥った者たちは、無意識の中のリビドー、性的な元型に退行せざるを得ない。21世紀をとうに過ぎた今もなお、日本社会には人をいともかんたんに古代の野獣に退行させる過度な集団主義、あるいは西洋流の合理効率主義が息づいている。高層ビルが増殖し、都市が異様なまでにソフィスティケートされるほど、皮肉にもその中身は野蛮に、醜悪になってゆく。この映画の英題は、TOKYO DECADENCE.“退廃した東京”である。  映画後半、アイはかつての恋人であるミュージシャンに再会すべく、彼の住む横浜の高級住宅地に向かう。昼下がり、経口ドラッグでハイになったまま、さまざまな豪邸の前を1人はいかいする。  SMにふける男たち同様、彼女もまた個を失って、無意識の中の元型に退行させられている。白馬にのった王子様を求めるのは古代から女性全般に共通したリビドーの一種だ。その1売春婦の白昼の狂気が、何か現実的でインパクトのある悲劇か、あるいは救済に結びついたなら、この映画は一般的にも評価されたケッサクになっていたのではないか。アイのはいかいの先にあったものは虚無とも言えるものだった。アート映画への強いこだわりがなければ、後半の失速はさけられていたハズだ。 PS:そう言えば、天野小夜子が歌う場面。ボブヘア、顔とスタイル、そしてヘロイン。それは『パルプフィクション』のウマ・サーマンによる自宅でのダンスシーンを思わせた。日本映画マニアのタランティーノは、たぶんこの映画からもインスパイアされたのではないだろうか。■

  • mov********

    5.0

    ネタバレ・・・やはり神作、疑いの余地無し!!

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • tan********

    3.0

    天野小夜子が素敵でした。

    快楽の極限に満ちたSMクラブで客たちの焦燥や孤独の間をさまようヒロインの姿を描いた官能ロマン。 原作・脚本・監督は「ラッフルズホテル」の村上龍。 撮影は青木正と長井和久が共同でそれぞれ担当した話題作。 出演は、二階堂ミホ、天野小夜子、加納典明他。 高級SMクラブに勤めるアイは、シティホテルで様々な客を相手にするコールガール。 目的や意志が感じられない生活の中で、アイは占い師から「桃色の指輪があなたを幸福にする」と言われる。 数日後、宝石店で見つけたトパーズの光に魅せられるアイ。 麻薬に浸る高級娼婦サキ(天野小夜子)がアイに優しく接してくれる‥。 全般を通して物苦しい雰囲気を感じさせる映画なのだが、天野小夜子という女優が素晴らしく、この作品を引き締まった物にしている。 彼女の出演している他の作品を探したが見つからず淋しいです。

  • tos********

    2.0

    オレンジ色のキラキラ

    空気が乾燥していて気持ちがいい。 クソ寒いけど。 こんな日には西新宿だ。 それも高い場所に上がるんだ。 青春を思い出すからね(笑) 二十年くらい前に西新宿のホテルでバイトをしていた。 建設中の新都庁舎を見上げて涙をこらえたことも数知れず。 新宿中央公園で仲間と明け方まで「尾崎豊」を歌った夜もあった。 いつでもこの街は僕の想いを飲み込んで中和してくれた。 蒼い青春の街。 痛い思い出の街。 街路樹と立体交差の街。 高級高層ホテルの街。 都庁がある街。 ビジネスマンとホームレスの街。 オヤジとギャルが密会する街。 変態とホテトル嬢の街。 光と影の街。 西新宿。 しばらく振りに行ったら、あちこちが変わっていた。 それでも街の匂いはあのときのままだ。 そんなことが少しだけ嬉しかった。 センタービルの最上階まで僕を運んでくれる懐かしいエレヴェーター。 「チンッ」という音を合図に、いかにも重そうなドアーが開く。 店の奥にはキラキラとしたあの日の夜景が僕を待っているはずだ。 そんなことを思うと心臓の鼓動が少しだけ早くなる。 「いらっしゃいませ」 薄暗い店内をしゃなりしゃなりと歩くウェイトレス。 案内された窓際の席にゆっくりと腰をおろす。 眼下に広がる一面の夜景。 遠くに見える東京タワー。 プレミアムビールと葉巻。  「完璧」   のはずだった。 あれ?おかしいぞ。 夜景がなんだか白っぽく見える。 もっとオレンジ色でキラキラしていたはずなんだけど。 目をゴシゴシこすってみるけど僕の目に映る夜景は変わらない。 「あなたが変わったのよ」 目の前に座っている女性が僕にむかって静かに言った。 切ないような寂しいような想いが胸に溢れてくる。 静かにゆっくりと。 片岡義男の小説に出てくる大人の男と女に憧れた十代。 シティホテルのバーなんかでドライマティーニや、ブラッディマリーを 注文して、ゆっくりとふかすマールボロ。 かっこよくて爽やかで、なにより描写が美しかった。 そんな大人に憧れた。 そんな街だと思っていた。 そう、僕はガキだった。 そして出会った。 この映画の原作者である村上龍。 シティーホテルの一室なんかで、卑猥な言葉と一緒に涎をたらしながら、 ゆっくりと吸い込むハッシシ。 かっこ悪くて汚くて、なにより描写がグロくてエロい。 それでいて、やけに人間臭い。 そして痛い。 これが村上龍の真骨頂。 写真家の加納典明や、作家の島田雅彦が変態となって登場する。 彼らは、お世辞にもうまいとはいえない演技で僕に訴える。 片岡義男の世界と隣り合わせにこんな世界が存在しているんだと。 主演の二階堂ミホは素朴さとエロさを織り交ぜながら僕にいう。 人間って奴は、カッコつけてても地球上でもっとも寂しい生き物なんだよ。 ヤクザも、SM嬢も、変態も、医者も、オタクも、IT長者も。 みんな心のどこかが寂しいんだよ。 そしてCINEMA BOXくん。 君もね。 あのころ憧れていた大人になった。 オレンジのキラキラを感じなくなった。 20年前の僕が見たら、どう思うんだろう。 今の僕のことを。 そんなことを思いながら3本目の葉巻に火をつけた。 【追記】 小説「トパーズ」は12の短編からなる傑作である。 映画「トパーズ」はその12編を無理につなげてしまった。 SMや風俗やクスリをスタイリッシュに描こうとして失敗している。 どうせなら村上龍らしく、もっと泥臭く描けばよかったのに。 好きな小説の映画化だっただけに残念である。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
トパーズ

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日
-

ジャンル