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女殺油地獄

tal********

4.0

ネタバレこれはこれでアリ

原作を読み、歌舞伎も見た上での視聴だったが、それらとは河内屋与兵衛が油屋のお吉を殺す、という点だけが同じで、あとは全く違う内容の作品になっていた。 この映画はこの映画としておもしろいと思う。 与兵衛が女たらしであると同時に強い厭世観を持った無軌道な若者であり、世間の理屈や大人の事情などくそくらえと思っていた、というのは面白い発想だと思う。 この映画の与兵衛はいわゆる中二病だと思うが、原作の、自らを律する事ができず欲望のままに強盗殺人者となる与兵衛に比べると、かなり救いがある。 映画ではお嬢様小菊に翻弄され、人妻お吉にまで性の玩具のように扱われてブチ切れたから殺した訳だから。 藤谷美和子が、若くて美しいんだけど欲深くて狡いお金持ちのお嬢様を演じている。 藤谷美和子を映画で見たのは初めてだが、アイドル女優だと思ってたので、よくこの役を受けたなと思った。 樋口可南子が美しい。 分別があるはずの人妻が、後半あんな風になるのか?と思ったが、そこはやはり江戸時代の物語だから、他に娯楽が少ないしセックスの価値が今より高かったんだろうなと思う。 ていうか、この映画が作られた1992年も、今よりセックスの価値が高かったと思う。 堤真一は当時まだそんなに名が通っていなかったと思うが、役にハマっていた。 物語に登場しない背景の人々がまた美しい。 江戸時代ってこんなんだったのかなぁ~と想像しながら見た。 ただ、せっかくこんな美しい映画を撮る監督さんなのだから、やはり原作通りのストーリーで撮って欲しかったな、とも思う。原作ファンとしては。

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