ここから本文です

おろしや国酔夢譚 (1992)

監督
佐藤純彌
  • みたいムービー 18
  • みたログ 213

3.35 / 評価:65件

日本人とは、を伝えるのに適した材料なのに

原作は井上靖の同名小説だが、
僕が大黒屋光太夫と船乗りたちの冒険を知ったのは、
椎名誠の「シベリア追跡」(1987)による。

200年以上も昔のこと・・・
光太夫たちは伊勢から海路、江戸へ向かったが、
想像を絶する暴風と荒波により八ヶ月の漂流の末にアリューシャン列島に漂着。
自作の船でカムチャッカへ渡りオホーツクに上陸したが、
日本との国交がなかったロシアは、攻め入るにしろ貿易を行うにしろ
日本語教師が必要であったから光太夫たちを簡単に帰そうとしない。
あるロシア人の協力を得て、エカテリーナ女帝に帰国を嘆願するために
レニングラードまで行き、苦労の末に許可を取り付け、
再びシベリアを横断してオホーツクから日本に帰ってきた・・・。

日本に帰るまでに失った命は12。2人がロシアに帰化。
10年の歳月を経て日本に戻ってきたのはたった3人であった。

この光太夫たちの軌跡を椎名誠が追った旅の大紀行が「シベリア追跡」で、
数年に一度は読み返したくなる愛読書だ。

というわけで『おろしや国酔夢譚』はとても気になっていたのだが
ずっと観る機会がなく、「シベリア追跡」との出会いから約20年を経過して
ようやく観ることが出来た。


ううぅぅぅうむ。


光太夫たちの冒険を追った「シベリア追跡」、
それを元に観たのが悪かったのか、
「シベリア追跡」で覚えた感動を超えるどころか、
同レベルの感動にも至らず残念・・・。
僕の中で「シベリア追跡」が神格化していることを割り引いても、
この出来映えではあまりにももったいない。
全ての日本人が誇るべきこの大冒険物語を、
どうしてこんなに退屈で空虚な映画にしてしまったんだろう。

静かでいながら強い人。光太夫はこんな人と言えるかと思うのだが、
映画の作風には、静かというよりも冷めた感覚があり、また、
強さについては微塵も感じられず、むしろ脆弱に感じる。

大監督はじめ製作陣はこの運命の冒険者たちの生きようとする力に共感し、
冒険者たちを通して人間が生きることの熱さや尊さを伝えたかったのだろうと思うが、
僕はそれを映画から感じることは出来なかった。

光太夫たちの冒険は一般的にはあまり知られていないが、
偉大なる日本人であることは紛れもなく確かなことで、
それをより多くの日本人へ、世界中の人へ伝えることが出来る映画化という手段を
用いたのに、それが達成出来なかったことが実にもったいないと思うのだ。

劇中、あるロシア人が放ったセリフにのみ救いがある。

「船頭でさえあれだけの男なんだから、
 日本という国はきっと素晴らしい国に違いない。」

劇中では「あれだけの男」と言わしめるほどの描写がないことが本当に残念だが、
そうです。日本は素晴らしい国です。そこで暮らす日本人は素晴らしい人種です。

この映画を通じて世界に伝えてほしかった。。。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ