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紅の豚 (1992)

PORCO ROSSO

監督
宮崎駿
  • みたいムービー 183
  • みたログ 1.5万

4.25 / 評価:2,640件

かっこいいとは、あんたのことさ...

  • shigeo さん
  • 2007年8月15日 21時27分
  • 閲覧数 3268
  • 役立ち度 72
    • 総合評価
    • ★★★★★

最近、お腹が出てきた。
気がつけば四十に手が届く年齢だ。
これが俗に言う中年太りってやつか?
とうとう自分も中年になるのか....。
あぁ...、出来れば、もう少し待って欲しい...。
しかし、この作品を観て、中年もいいじゃん、と思えてきた。
ポルコ・ロッソ。
あんたもたぶん中年だろ?
あんたのカッコよさに自分はやられたよ。
カッコイイとは、こういうことかい。
あんたは間違いなく、カッコイイよ。

宮崎駿の作った「中年のための映画」。
何かの本で、この作品をそう紹介してた文があったことを思い出します。
その評は当たりでもあり、外れでもあるでしょう。
当たりとは、確かに中年の男の心をくすぐる映画であり、外れとは、他のジブリ作品同様にそんな年代に関係なく、広い世代で楽しめる作品だと思うからです。
でも、ひとつ、確実と言えるのは、この作品が傑作であるということ。
すごくおもしろい。
メッセージ色は薄くて、カジュアルで分かりやすいとこは○。
この作品の見所の一つに飛行艇の飛行シーンがあります。
最近はCGでこのような迫力ある飛行シーンが演出されてるでしょうが、それに勝るとも劣らない、むしろCGよりも遥かに優れた映像美で表現されているのではないでしょうか。
ただ飛んでるだけでなく、ちゃんと空気を掴んで飛んでいるのが見えるところはさすが。
数多くの飛行艇が出てくる辺りは航空機などの機械モノ好きな宮崎駿作品らしいですよね。
美術も素晴らしい。
よく背景を見ればわかるのですが、風景はもちろん建造物、乗り物全てが信じられない程細かいところまで作り込まれています。
こういった作り込みが宮崎駿映画が世界でも評価される所以だと思います。
そして、登場人物がホント魅力的。
キザなセリフを吐き捨て、女にゃ弱く、情には厚いが一匹狼。
そんな主人公の、豚なのに、いや豚だからこそ、自由に暮らし、自由に飛ぶ生き様は間違いなくカッコイイ。
声もなんともいえず渋いですし。
森山周一郎らしい声質ですよね。
大人の女性の魅力満載のマダム・ジーナ、ポルコに淡い恋心を抱く愛らしいフィオ。
空賊集団「マンマユート団」や無数の荒くれ共。
ロッソの飛行艇を作る女性たちなど。
この作品の登場人物って考えてみると、本当の悪人っていないんですよね。
敵役であるはずのカーチスでさえ、愛すべきキャラとして描かれています。
もちろん、イタリアのファシストや空軍たちは悪かもしれませんが、そんな人間は物語の本筋に少ししか関わりません。
こういうところも宮崎駿らしいとこでしょう。
悪人じゃないから、「マンマユート団」とドタバタ劇が楽しいし、カーチスとの殴り合いの決闘も微笑ましい。
ラストのフィオのキスも素敵。
ジーナやフィオとか、男がかっこよくいられるのは、かっこよくいさせてくれる女性がいるからなんですよね。
よく覚えておきましょう(笑)。
そして、ちょっぴり秘密を持ったラスト。
観てて気持ちいいです。
この感覚ってすごく大切なことだと思います。
こういう感覚を観てる者に感じさせるのは、何よりも作り手が優しさを持って作品を作ってるからではないでしょうか?
優しさとは愛情。
モノを作るのに愛情が必要だとよく言われますが、こういう作品を観るとホントにそう思います。
観た後に清々しく、そして心地よい気持ちになれる作品です。
そうそう、音楽についても一言。
少品かもしれませんが、映画本編と見事にシンクロした音楽は、見事な仕上がりになっています。
サントラ盤は曲数が多く、それぞれが個性を持った曲ですが、それでいてまとまりがあるのはさすが久石譲ですね。
自分的には「セピア色の写真」や「アドリアの海へ」が特にお気に入りかな。
そして、エンディング曲である加藤登紀子の「時には昔の話を」を聞いてたら、不覚にも眼に涙がたまりました。
時には昔の話をしたら、胸が切なくなる思い出がたくさんある...そんな歳になってきたんだなと思いました。
そんな大切な思い出に負けないように、今を走り続けよっと。
余談ですが、「時には昔の話を」のアレンジ違いのシングル盤もいい感じの出来ですよ。

飛ばねえ豚はただのブタだ。
自分はどうだろう?
○○じゃなけりゃ、ただのオッサン。
イヤだ、ただのオッサンにはなりたくない。
不器用な生き方でも構わない。
自分なりの夢やルールを胸に秘めていこう。
自分を想ってくれる女性を大切にしよう。
そして、時々、空を見上げてみよう。
アドリア海の空でなくても、どこでも晴れた昼の空は青い。
人間が決めた境界線なんか嘲笑うかのように、空は果てしなく広い。
たまに、一筋の飛行機雲が見えることだろう。
それは、空に賭けた男の夢の跡....。

詳細評価

物語
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