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紅の豚 (1992)

PORCO ROSSO

監督
宮崎駿
  • みたいムービー 183
  • みたログ 1.5万

4.25 / 評価:2,640件

男のロマンなんてのは勝手なもんだ

  • CINEMA BOX さん
  • 2007年6月6日 5時14分
  • 閲覧数 5107
  • 役立ち度 106
    • 総合評価
    • ★★★★★

世間では「カリブ海の海賊・ジャック・スパロウ」が騒がれているが、
こちらは「アドリア海の空賊」と「賞金稼ぎポルコ・ロッソ」の大活劇。

宮崎映画の中で異彩を放つ本作は、少女ではなく中年の豚が主人公。
いわゆる≪チョイワルおやじ豚≫
聞いただけでつまらなそうなアニメだが、これが面白い。かなり。

宮崎駿監督の「オタクぶり」が満載の痛快娯楽アニメ。
そもそも原作は、模型雑誌に連載されていたのだから
小難しいメッセージもなければ、壮大なテーマも無い。
加藤登紀子の素晴らしい歌にのせて、男のロマンとダンディズム
それと【飛行艇】をひたすら描いている。

だいたい男のロマンなんてのは勝手なもんだからね。
女・子供には殆どウケないのである(笑)
この映画の良さがわかる女性がいたら一緒に飲んでみたい。ぜひ!

1920年代末、世界不況の中で多くのパイロットが空賊となって、
アドリア~エーゲ海一帯を荒らしまわっていた。
イタリア海軍退役パイロットのマルコ・パゴット(ポルコ・ロッソ)中尉は
貧乏なバルカン諸国と契約した空賊狩りの賞金稼ぎ。

空賊たちが集まるマダム・ジーナの経営するホテル・アドリアーノの
バーは、空賊の大手マンユート団から客船を守ったポルコの話で持ちきり。
空賊は、ポルコの飛行艇をやっつけようとアメリカ人のカーチス(本名ドナルド・チャック)を雇う。
翌日、戦う気の無いポルコをカーチスが追い回し撃墜。
なんとか一命を食い止めたポルコは、ミラノで愛機を修理することにする。

馴染みの修理工場で出会ったのは、修理責任者だと紹介された17歳の少女フィオ。
一旦は断るが、フィオの天才的な腕と熱意に負けて修理を任せることに。
修復の済んだ飛行艇にフィオも整備工として一緒に乗りこみアドリア海に戻ると、
カーチスがフィオに一目ぼれしてしまい、少女と飛行艇の修理代を賭けて最後の決闘となる。
誇りと女と金を賭けた大勝負の行方はいかに!


【※はーい!ココからはオタクの世界!】
この映画の歴史的な背景のひとつに1920年代に行われていた水上飛行機によるスピード競技で、
劇中、ポルコのセリフにも出てくる【シュナイダートロフィーレース】の存在がある。
1912年にフランスの富豪ジャック・シュナイダーが水上機によるスピードレースの主催を発表し、
優勝者には1000ポンドのトロフィーと、さらに最初の3年間に限り同額の賞金も与えるとした。
そして特筆すべき規則は、5年の間に同じ国が3回優勝した時点でレースを終了し、
トロフィーはその優勝国が永久に保有するとされた。

1920年の第4回大会でイタリアの≪サボイア S.12≫が優勝。
1921年の第5回大会もイタリアが≪マッキ M.7≫で優勝。
トロフィーの永久保有に王手をかけたイタリアだったが
1922年の第6回大会は大本命イタリアの≪SIAI S.51≫が予選の転覆事故による
プロペラ不具合によってイギリスの≪スーパーマリン シーライオンII≫が優勝。
1923年の第7回大会はアメリカの≪カーチス CR-3≫が1位、2位を独占。
1925年の第8回大会もアメリカの≪カーチス CR-3≫が優勝。

っで、ポルコのセリフが、
「表のカーチスおめぇのか?シュナイダーカップで2年続けてイタリア艇を破ったやつだ」になるわけ。

【飛行艇・飛行機】好きには堪らないシーンが満載。
ポルコの≪サボイアS.21試作戦闘飛行艇フォルゴーレ号≫
カーチスの≪カーチスR3C-0非公然(密造)水上戦闘機≫
空賊マンユート団の≪ダボハゼ号≫
≪ハンザ・ブランデンブルク≫≪マッキM.5≫
架空の飛行艇(限りなく現実にありそうな)と、歴史上の飛行艇がズラリ。
真っ青なアドリア海の大空を縦横無尽に飛び回るフェラーリレッドの機体は美しすぎる。

改造前のサボイア「イゾッタ・フラスキニエンジン」や、改造後の「GHIBLI製フォルゴーレエンジン」の【破壊力】
「木製モノコック」独特の【ゆれ】、ポルコの操縦術、カーチスの太陽を背にした急降下など、見どころ満載!!


このあたりでオタ話は終わりにして、
この映画は、深読みしないで単純に飛行艇乗りの「カッコよさ」とか「すがすがしさ」を描きたかっただけ。
だと思ってみた方が格段に面白い。

フィオのセリフがそれを代弁している。

「飛行艇乗りの連中ほど気持ちのいい男たちはいないって、おじいちゃんはいつも言ってたわ。
それは海と空の両方が奴らの心を洗うからだって、だから飛行艇乗りは船乗りより勇敢で、
丘の飛行機乗りより誇り高いんだって。彼らの大事なものは金でも女でもない名誉だって」

ラストではカリオストロの庭師のおじいさんよろしく「なんて気持ちの良い連中だろう…」などと
心の中で思わず唱えてしまうこと間違いなしの名作アニメだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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