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死んでもいい (1992)

監督
石井隆
  • みたいムービー 18
  • みたログ 177

3.96 / 評価:46件

もしサイレントでもわかる石井映画の凄さ

  • 奥田映二 さん
  • 2010年11月19日 22時41分
  • 閲覧数 2187
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

石井隆の監督としての第2作。

この頃から「画」のセンスが凄くいい。
最初に駅で永瀬が大竹を引っ掛けぶつかるシーン。背後から撮って、スローで見せて、更に俯瞰で見せる。
ヒチコックみたいだ。
殆ど暮れかかった頃に鉄橋を渡るふたり。
川沿いの連れ込みでビールの盆を境に窓沿いに座るふたり、その外には小さな船舶が浮かぶ。
言えばきりがないが、ある意味サイレントであっても観客に筋がわかるような作り方。
こういうのが映画であろうと思う。

「画」だけではない。
これもヒチコックみたいだが、永瀬と大竹の密通が室田にばれるんじゃないかとヒヤヒヤ、すんでのところでベランダに身を隠したりライターを咄嗟にシーツで覆ったり、観客はそういうシーンではバックに流れるそういう音楽とともに緊張が走る。
そうやってどんどん観る側を惹きつける脚本や手腕は当然だが石井監督が受け手を意識しているからだろう。
一種のサービス精神だし、作る以上は当然監督もシナリオライターも俳優もスタッフ全員が客に観て欲しいのだ。
そして映画館には金を払って客は観に来るわけで、作り手はそのことを頭から外してはならないはずだ。
昨今の「何もない」のがリアルとか、「癒し」「スローライフ」に括られる映画が公開され、映画館ではグーグー寝てる観客が殆どとか眠い目をこすりながら観てる観客が多いとか、それはある意味独善的な作品を是とする受け手がいるからバカな作り手が増長するわけだ。

ひと目見ただけの人妻に惚れる永瀬、憎からず思いながら年の離れたオッサンの亭主との生活も捨てられない大竹。
こういうのは誰でも心の片隅にある感情で、観る側は「痛いところを突かれる」から感情移入もするし引き込まれていく。
そうなりたい、でもできない、でも少しなら踏み出せるかな、いやこういう関係は危険、
様々な思惑が観客の胸を去来するはずだ。

ホテルで強盗に襲われたふうに偽装するはずだった計画も、実際には計画通りうまくは出来なかったというのも面白いのだが、俺もやってみたらまあそういうもんだろうなあーと思う。
そして、ラストの、今までと同じように一日が来ては過ぎていくだけという大竹の台詞が不思議だが安らぐ。

DVDでインタビューを観た。
大竹しのぶがこの台本を渡されて読み、「こういう役が今私が…」と言った時、その後「出来るかなあ?」になると思ったが、「やりたい、凄くやりたい役だった」と続いたのが凄かった。
こういう能動的なところがこの人の凄いとこなんだと思った。
何に限らず人間そうでなければいけないのだが…。

故室井日出男の演技が良かった。
きっぷの良いええ格好しいの小さな会社の社長。優しい亭主。
こういう人居ますよね。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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