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わが愛の譜 滝廉太郎物語

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4.0

良質な凡作

普通の良作といわれる作品だと思った。滝廉太郎さんが清廉、実直に音楽に向き合って生きた短い23年の生涯の中で、大学で学ぶために東京へ出てきて初めて大学構内にあるピアノを触れるあたりから始まっている。 庶民愛唱歌の音楽家の伝記映画ということで随所に聞きなれた曲が盛り込まれているのが嬉しい。 「花」「箱根八里」「お正月」「荒城の月」など日本人なら耳にした事のある曲がこのような背景のもとつくられたのかななどと思わせるような流れの中で歌われる。 廉太郎の先輩である鈴木とその他芸術の道を歩む若者たち、同級生で国外留学生選抜のライバルでもある幸田雪、廉太郎が音楽にのめりこむことをあまり快く思っていない父親とやさしい母親との関係の中で廉太郎が切磋琢磨し作曲していく様が描かれている。 配役もはまっていて廉太郎も説得力があるように演じられていると思う。 幸田雪役は少し棒読みで演技が一本調子な箇所もあったかと思うけれど、自立して自分の進む道をしっかりもっているけれど才能の事で思い悩み苦しむ弱さも持ち合わせているその時代に生まれた華族のお嬢様の感じがよく出ていたと思う。 作品の制作サイドが廉太郎の清廉、実直な人柄ということに重きを置いてつくられているので良作ではあるがどうしても普通の映画に終ってしまっている気がした。 『アマデウス』は天才モーツアルトとその才に嫉妬するサリエリの構図が強烈だったから息の長い映画になったのだろうか。(もちろんオペラシーンや演奏シーンなども印象に残るものだったけれど)

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