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デジレ (1954)

DESIREE

監督
ヘンリー・コスター
  • みたいムービー 2
  • みたログ 8

3.50 / 評価:4件

戦火のヨーロッパを股にかけたスレ違い恋。

  • 晴雨堂ミカエル さん
  • 2008年5月28日 15時13分
  • 閲覧数 413
  • 役立ち度 18
    • 総合評価
    • ★★★★★

 ナポレオンの妻ジョセフィーヌの陰に隠れがちだが、ヨーロッパの政局に少なからず強い影響を与えた女性がナポレオンの元婚約者デジレである。煎じ詰めて言えば元カノだ。
 デジレ役には「スパルタカス」のバリニア役でも有名なジーン=シモンズ氏が扮している。私のお気に入り女優だ。実際のデジレの肖像画はふくよかに描かれているが、映画のデジレは痩せた現代的美女である。この当時はまだ20歳代前半ではなかったろうか、少女のように若い。ナポレオンにはマーロン=ブランド氏が扮した。(余談1)

 史実を基本に物語が組まれている。初めて観た中学生の頃は壮大な長編映画と感じたのだが、いまYahoo!映画のデータをみるとたった2時間足らずだ。
 小金持ちのお嬢さんデジレと貧乏将校ナポレオンという平凡なカップルが、最初はデジレの父親の反対というこれまた平凡な理由で引き裂かれるのだが、いつの間にか大袈裟な経緯で2人はヨーロッパの政局や戦火を左右する大袈裟な立場になっていく波乱万丈さが、上映時間を長く感じさせたのではないかと思っている。驚くべきことに、この現実離れの運命を辿ったカップルは実在したのだ。

 父親の反対のおかげで、2人は遠距離恋愛を余儀なくされる。その間、ナポレオンは軍隊で頭角を表しパリの政界で一目置かれる存在となっていく。次第に手の届かない遠い世界へと離れていくナポレオンを追いかけるようにデジレは上京するが、そこで見たのは上流階級の熟女ジョセフィーヌに夢中なナポレオンの姿だった。このときのジーン=シモンズ氏の姿がいかにも田舎から出てきたおのぼりさん風体で、可愛らしく、また切ない。(余談2)

 傷心のデジレに偶然出会う地味で優しい紳士がベルナドット将軍、後にデジレの夫になり、現在のスウェーデン王室の開祖となる。つまり、デジレはスウェーデン王妃としてフランス皇帝ナポレオンと対峙することになるのだ。(余談3)資産家のお嬢さんと貧乏軍人の恋愛、男に金が無かったばかりに親に反対されたよくあるシチュエーション、それが各々王妃と皇帝になり、ラストではワーテルローの戦いで負けた元カレに戦勝国の王妃となったデジレが特使として降伏を意見するのである。

 世紀のすれ違いカップルだ。しかもヨーロッパ全土を巻き込んだ罪なカップルだ。もし、デジレの父親が快く結婚を許していたら、ナポレオンにハングリー精神の炎が燃え盛らず、有能な軍人兼技術者で人生を全うし、デジレも平凡な中流婦人で歴史の中に埋もれていたのだろうか?
 
(余談1)私は眉毛が太くて長い黒髪の女性が好みである。
 噂によると、ジーン=シモンズ氏は英語版「ハウルの動く城」でヒロインの吹替えをしたそうだ。ご健在で、しかも日本のアニメの声優をしてくれているなんて嬉しく思う。

 横山ノック氏にまだ前髪があった頃、広い額に曲毛を垂らす独特の髪型で上岡竜太郎氏らと漫画トリオをやっていたが、これはナポレオンを演じるマーロン=ブランド氏の髪型を真似たそうだ。

(余談2)池田理代子氏が描いたナポレオンの伝記漫画「エロイカ」にもこの場面が出てくる。池田氏の世代なら映画館でこの映画を観た口だろう。漫画のデジレにはどことなくジーン=シモンズ氏の面影がある。

 ダヴィッドの「ナポレオンの戴冠式」という有名な絵画がある。ローマ法王から恭しく戴冠をうけるところ、ナポレオンが法王から冠を取り上げ、自らジョセフィーヌの頭へのせるアレである。この映画で忠実に再現されている。

(余談3)デジレがヨーロッパの政局に強い影響力を示したのは誇張ではない。というのも、ナポレオンは婚約を一方的に破棄したことに後ろめたさを感じていた。ベルナドットに大きな軍功が無くても元帥に出世できたのも、政治的に窮地に立たされても失脚することなく、しかもスウェーデン王室に入れたのも、デジレに気兼ねしたからである。
 一方、デジレもベルナドットの妻となりスウェーデンの良き王妃に落ち着いてもナポレオンへの思いを忘れた訳ではなく、それは彼女の死後に枕下で発見されたナポレオンへ恋文が証明している。

詳細評価

物語
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