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棒の哀しみ (1994)

監督
神代辰巳
  • みたいムービー 10
  • みたログ 46

3.31 / 評価:16件

神代流ハードボイルドの方法論

《モノローグ(独白)》は従来、回想劇やコメディなどで多用されてきました。物語を安易に進行させるには都合の良い方法だからなのでしょう。また、その性質上《モノローグ》には嘘が含まれていないので、観客が主人公の本音を知ると同時に感情を移入し易くもなります。しかし、それでは主観性が強調されるばかりで、ハードボイルド(冷徹・非情)の核心である表現の客観性からは遠ざかってしまいます。そこで、この映画では《独り言》という方法を選択し、観客に感情移入どころか主人公の心理を推量する余地さえ与えていません。この事が功を奏し、ひょうひょうと几帳面な役どころを演じる切る奥田瑛二自身の特異性や、多用されるフェードアウトの効果とも相俟って、観客との距離間を上手く作り出していきます。全体に配色を抑える事でもクールな雰囲気を醸し出す事に成功していると言えるでしょう。また、暴力団の構成員として伸し上がっていく表向きの成功物語は、この手の映画が陥りがちなデカダンスへの逃避を回避する歯止めとなっており、徹頭徹尾カタルシスを排除する演出によって確実にハードボイルドを成立させています。ひとえに神代監督の力量有ってこその成せる業と言えるでしょう。ただし、予算の都合上なのでしょうが、全体的に画面作りには生彩を欠いており、ちょっとヌーヴェルヴァーグっぽい撮り方からも模倣の感を免れ得ず、大変残念でなりません。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不思議
  • 不気味
  • セクシー
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