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KAMIKAZE TAXI

KAMIKAZE TAXI

R15+169

cyborg_she_loves

5.0

隠れた傑作

驚いたことに、この傑作の解説がWikipediaには英語版にしかない。日本映画なのに当の日本でほとんど知られてない。  けど、一度でも見た人は口をそろえて大絶賛する。  まさしく「隠れた名作」ですね。  映画好きを自称する人ならぜひ探し出して見ることをお勧めします。  最初はVシネマとして発売され、一応劇場公開もされはしましたが、それほど話題にもならず、忘れられたみたいになっていました。  しかし、最近になってDVDで再発売され、再び容易に見られるようになりました。国内版は140分ですが、海外で発売されてるのは170分のものもあります。どの版か注意する必要があります。  確かに、どなたかも書かれているとおり、作りはやや不親切で、特に最初の方はストーリーがやや追いにくいです。初めて見る時は、各種の映画サイトに書かれている簡単な「あらすじ」のたぐいを読んでから見た方がいいかもしれません。  何回でも見たくなるタイプの映画なので、2回目以降はもちろんそんなことは気になりませんが。  始めの3分の1ぐらいは暴力シーンが多くて、そういうのを好まない人は(私もそうですが)不愉快だったり、退屈だったりするかもしれません。  だいたい、主役の役所広司さんが、この部分が一段落してからでないとそもそも画面に出てこない。  冒頭にインタビュー映像(役所広司さんの部分以外は本物の日系移民たちへのインタビューですね)がありますが、それがどういう意味をもつのかも、この最初の3分の1を見ててもまったくわからない。  そういうところが不親切ではあるんですね。人によっては何が面白いのかわからなくてこの辺で見るのをやめてしまうかもしれない。  しかし、役所さんが出てきてからは、これはもうどんどんこっちの心にしみこんできます。  この「コンドルは飛んでゆく」にそっくりの、アンデスの民族音楽風の音楽がまた素晴らしい。それをBGMにして訥々と語られる、役所さん演ずるタクシー運転手の寒竹一将の身の上話は、もちろんこれ自体はフィクションでしょうが、これに似た話がペルーでは現実に無数に起こっていたことを考えると、もうなんか、やりきれないような気持ちになりますね。  コミカルなテイストが随所にちりばめられてはいますが、根っこのところでは、こんなにも心優しい人だからこそ復讐せずにいられないという人間の心情の複雑さを見事に描いています。  あ、これ、海外では「KAMIKAZE TAXI」というタイトルで公開されていますが、もともとの邦題は「復讐の天使」です。  「復讐の天使」とは、そういう意味です。

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