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上映中

トキワ荘の青春 (1996)

監督
市川準
  • みたいムービー 45
  • みたログ 363

3.01 / 評価:148件

売れても売れなくても関係性はあの時のまま

  • yyy***** さん
  • 2021年2月23日 12時58分
  • 閲覧数 100
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画を見るまで寺田ヒロオという漫画家を知らなかった。
むしろトキワ荘の存在も知らない、予備知識ゼロで鑑賞した。

淡々とした描写の静かな映画の中にくすっと笑えたり、温かい気持ちになったり、時には切なくなったり。売れっ子漫画家達の当時の日常をのぞき見しているような気持ちにさせらさた。

映画で描写されているテラさんはどこまでも優しい、漫画のことになると不器用で時代の流れに取り残されてしまった漫画家。
石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄、後輩たちが売れていく一方で、自分の漫画は古いとわかっていながら、スタンスを変えられない不器用さ。
後輩が売れていく現実にテラさんはどんな気持ちだったのだろう。
そんな状況がありながら、売れてからも尚、昔と同じように慕ってくれる後輩達。テラさんは何も言わなかったけれど、何か悩んでいることには気づいていた藤子不二雄の2人が「テラさん、相撲しましょう」と声をかける。相撲をしているときのトキワ荘のメンバーは少年に戻ったかのような笑顔を浮かべていて、なんだか羨ましくて、でも一人ひとりの気持ちを考えると切なくて。

アニメーションの道に進んだ鈴木伸一、夢半ばでトキワ荘を出ていく森安なおや。漫画家の明暗が描かれていて、涙なしには見れなかった。

赤塚不二夫もなかなか芽が出なかった漫画家というのは初めて知った。
出版社から「誰かとは言わないけど、すごく絵が似ている。もう覚悟を決めたほうがいいんじゃないか。」と言われてしまう。石森のアシスタントもしていたのだから似てきてしまうのもしょうがない。そんな赤塚を見かねて、テラさんはお金を貸す。石森は出版社の編集に赤塚が描いたラフを見せて「あいつ、そうゆうの描いたら俺より上手いんですよ。」と道を作ってあげる。
石森は赤塚の才能に気づいていたし、アシスタントをしてくれていることにとても感謝していたからこそ、仲間を引き上げたと思うと友情に胸が熱くなった。
赤塚の初連載が決まった時は自分のことのように嬉しくなった。
雑誌に掲載され、紙とインクの匂いを嗅ぐ描写を見ると映像で匂いなんかないのに同じ匂いがしてくるようだった。

早く社会で芽がでたからいいってものじゃないし、遅いから悪いわけじゃない。でも頑張ったからと言って全員が報われるとは限らないし、別の道に進むことが間違っているわけでもない。そんなことを「トキワ荘の青春」を見て感じた。

この映画に大きい事件は起きない。
淡々と丁寧にトキワ荘で、かけがえのない時間を過ごした青年期の漫画家達の日常を映し出している。鑑賞した後にじんわりいい映画だったなと思える作品。

1996年の映像がより、この作品の味になっていて、音楽にも昭和の香りを感じ、タイムスリップした気持ちに。

彼らのトキワ荘での生活をより知りたくて、石ノ森章太郎著の「トキワ荘の青春―ぼくの漫画修行時代」を購入してしまった。映画の中に引っ越したての石森がラジカセを買って家賃が足りなくなって、テラさんを頼るシーンがある。映画の随所に音楽がやけに大きい描写があったが、その本の挿絵でトキワ荘の間取りが描かれているページがあった。その挿絵は鈴木伸一が書いてる。石森の部屋を見てみると「音がすごく大きいステレオ」とあって思わず、そういうことだったのかと笑ってしまった。

ほっこりして、温かくて、優しくて、切なくて。トキワ荘の生活がすごく羨ましくて、私は何故昭和に生まれなかったのかなと、考えてもしょうがないことをずっと考えてしまっている。

詳細評価

物語
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演出
映像
音楽

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