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鉄道員 (1956)

IL FERROVIERE

監督
ピエトロ・ジェルミ
  • みたいムービー 73
  • みたログ 536

4.08 / 評価:204件

鉄道員

  • bar******** さん
  • 2018年12月24日 0時50分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

鉄道員。ピエトロ・ジェルミが監督も兼ねていますが、素晴らしい俳優だと思います。これはイタリアの通俗的家族ドラマなのですが、主役のピエトロ・ジェルミの演技が非常に素晴らしく、また他の俳優も非常に上手に演技しており、迫真的で見応えがあります。

惜しいのは、やや平凡で通俗的なドラマに陥ってしまったこと。語るべき事が少なく、あっても月並みなことに過ぎず、深みが足りないと思います。

物語はよくある家庭ドラマで、喧嘩と再生が描かれますね。主人公のアンドレア・マルコッチはやや頑固な庶民的父親として描かれますが、これは非常にリアルで面白く感じます。娘・息子たちの反抗的態度も現実にある感じです。もう一人の主人公のサンドリーニにモノローグを担当させたのは素晴らしい手法で、彼を通して「子供の目で見ること」が我々に可能となり、家庭ドラマにありがちな重々しさが解消され、純粋にドラマを楽しめるようになるのです。とは言っても、完全に重々しさが消えたわけではありませんので注意です。

アンドレアの父のあり方について、不快に感じているコメントを見かけましたので、私なりの考えを申しておきますが、時代的精神と、職人的労働者という事を考えると、感動作としては難しいけども(月並みなため)、リアリティがあり面白かったんじゃないのかなと思います。もちろん不快に思われる方も少なからずいる、そういうキャラクターだと思いますが、「人間」ということをよく描けていると思います。彼は「万能の人間」ではなく、彼自身も思い悩み、傲慢さと恐怖に打ち勝って、サンドリーノと共にかつての仲間たちと仲直りしに行きますし、息子と娘をもう一度受け入れ、家族として再生させたのは、彼自身が頑固さ(という傲慢さ)を捨てて、同じ過ちを犯した「人間」として、家族を見つめ直せた、その功績に他なりません。サンドリーノはマルコッチ家の天使であって、彼が再生のきっかけを握りますが、再生を成し遂げたのは、アンドレア、ジュリア、マルチェロ、そしてアンドレアを支えたサラなのです。「理想的な父親像」を思い描いて、アンドレアを比較することは、その行為をなかったことにすることで、彼の思い悩む「人間性」を抹消してしまうため、意味のあることだと思えません。

ただこの作品が名画かというと、その点は疑問です。先ほども申し上げたとおり、物語がやや月並みで、語られていることも深みはなくスケールも小さい。ただその中ではうまくやっていると思います。しかし胸を打つ感動というのは、他の名画に対して、誤った評価に繋がると思いますので、それは適当ではないと思います。イタリア庶民劇として、なかなかの作品ということで留めておいた方がいいでしょう。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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