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チンピラ (1996)

監督
青山真治
  • みたいムービー 15
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3.45 / 評価:38件

打寄せる波と頬をつたう涙は、禊の同義語

 川島透監督で映画化されたオリジナル版とは、まったく毛色の違うモノに仕上げられている。違って当然である。違う人が撮ったのだから。野暮なようだが、物語が持つ比重というものが、映画にとってはそれ程のものでは無い事が良く分かる。落語のように、演目が同じでも噺家が代われば面白味が変わるようなもの。クラシック演奏会も同様に、指揮者の解釈で演奏が異なるものの、元は同じ譜面だったりする。それでも、人は映画となると決まって物語しか語らず、ショットを語らない。例えば、「この映画は、どんなショットから始まり、どのショットで終わったか?」などという話を聞いた試しが無い。役者の上手いの下手だのの話は山のように見聞きするが、そんな烙印を押す行為にどんな意味があるというのか?こんな悪態を吐きたくなるほどに切なく愛しい命の消滅を、冷静に受け止められはしない。この映画は、みっちゃんの死に喪失する洋一の姿から始まり、洋一の涙で終わる。その間の本編は、全てが過去の時間軸の中に吸い込まれていく。言い換えれば、洋一の過去をみっちゃんに集約させ、その喪失の涙でもあった。これは、青年から大人への通過儀礼とも採れ、その舞台は禊の場であるからには水辺でなければならなかった。洋一にとってのみっちゃんとは、未来の自己を投影した存在でもあった。だから、みっちゃんの死は、洋一の身代わりでもあったのだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
  • 切ない
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