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萌の朱雀 (1997)

監督
河瀬直美
  • みたいムービー 62
  • みたログ 410

3.09 / 評価:117件

夕暮れ時を思い出す蜩の音

  • 千林katsuragi さん
  • 2007年11月9日 18時37分
  • 閲覧数 577
  • 役立ち度 30
    • 総合評価
    • ★★★★★

舞台は奈良。私自身、実家が奈良という事もあって、非常に親しみを覚えた。作中では過疎化の進む、都会とは程遠い村で起こったトンネル開発事業を背景に、ある一家の心情が描かれている。
奈良はいい所だ。いつも田舎に帰ると気が休む。いろいろ考えていた日常を忘れさせてくれる。誰もが田舎に帰るとそうだろう。この映画を見て、それらと同様の感覚を覚えたのはきっと私だけではないと思う。この映画は10年程前の映画だが、こんな村が昔はもっとたくさんあったんだ。辺り一面360°、緑に囲まれた町、学校の途中には橋があり、その下を見渡すと、きれいな川が流れている。
日本の「美」が、世界に胸を張って誇れる「美」がこの映画には映し出されていた。それだけで満足できた。

決して万人うけする映画ではないだろう。とても静かな映画であり、起承転結の起伏も激しくはない。さらに、素人同然の配役で、特に関西弁を聞き慣れない方は、何を言っているのか聞き取れない部分もあるかもしれない。
ただ、過疎化という極めて深刻な問題を背景に、人々の葛藤、嫉妬、不安、焦燥、恐怖、など様々な感情を織り交ぜて、人間の深層心理を上手く表現した河瀬直美監督の大胆さや才能を感じた。河瀬監督に関しては、色々な不適切な発言や反感をかう発言で映画ファンの中でも賛否両論のある方だが、カメラドールを史上最年少で受賞するのもだてじゃない。そう思ったのがこの「萌の朱雀」観賞後の私の素直な感想である。(ただ、もう少し公の場での過激な発言は控えるべきでは)

この映画を見て世界中全ての人に理解していただきたいのは、今なお続く都市化の波がいとも簡単に人と人との絆を儚くも崩れさせ得るということである。
「萌の朱雀」とは己の前に立ちはだかる大きな壁であり、人間の欲望そのものなのかもしれない。
悲しくも恐ろしい、そんな映画であった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 切ない
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