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愛を乞うひと (1998)

監督
平山秀幸
  • みたいムービー 199
  • みたログ 689

4.35 / 評価:350件

観客にとっては迷惑千万な暴力描写

  • da5***** さん
  • 2017年6月6日 19時00分
  • 閲覧数 3184
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

やりすぎたね。これは要R指定だ。

腕力足らずの細い女が多年にわたり手加減なしの肉体的暴力に走り続けるのも、それを周囲の誰一人本気では制止しないのも、そして会社勤めし始めた頃の娘まで一方的にやられ続けるのも、ありえないって。私がもし娘の弟や、義父や、隣人たちだったら、「そばにいると飯が不味くなる」という理由でこの狂女を三日おきにKOしてるよ。
ありえない。時代がいつであるかにかかわらず。
大量の返り血を「汚れちゃったじゃないか畜生」にしか繋げない母親は、その時点で殺人狂だよ。何で金払ってまでそういう場面を執拗に執拗に見せられなきゃいけないんだよ。
実父にムリヤリの近親相姦で十回以上妊娠(出産・流産・中絶とり交ぜてメッチャクャ)させられた末に最後泣きながら報復絞殺して尊属殺人罪に問われた栃木の事件、を映画化した方がマシ。あの痛ましすぎる昭和中期の事件には、父親の倒錯的な愛欲という弁解要素がまだあるし、気の毒な娘さんは、四、五人産んだわが子ら(やその孫ら)に愛情注いで穏やかな余生を送ったそうだし。
この映画の方は、とにかくありえない。暴力それ自体が目的になっているんだもの。作り話のくせに。

「攻撃と受け」は、すべての演技の中で最も簡単。ただ、気持ちを相当整理してからでないと原田は迫真のヒールに徹しきれなかった。そこで制作者らは、彼女の心のバランスをとるために、一人二役で淑女役も演じさせることにした。
狙いがミエミエだ! 「観客のためではなく、あくまでも作り手側の事情で一人二役にした」!
あえて女優賞与えるなら、子役たちにだろう。原田の演技力なんてこの作品の中では大して褒められないよ。

かつて“燃える闘魂“猪木は、「ブッチャー対テリーはただの残酷ショーだが、俺とシンが組み合って表現した“腕折り“等は、男の戦いの神髄」と語った。
時を経て、粉々の蛍光灯や画鋲だらけのハードコアはまだいいとしても、「弱い者いじめの顔面破壊事件」にすぎない世IV虎対悪斗の凄惨映像ばかり延々と見せられたら、人は耐えられない。
ベビーフェイスがやられにやられてからの反撃(力道山でいえば空手チョップの時間!)がなかなか来ない。最後まで来ない。──それをやりすぎたら、観客の暴動を誘ってしまうよ。
サッカーや野球だって、観客をナメきった乱試合において不甲斐なさ等が限界超せば、観客は暴れだす。世界中でそう。FIFAから「次回は無観客試合にせよ」と指令が来るよ。この映画も、いっそ「無観客上映」がお似合い。

娘よ、逆襲しろ! 説明や微笑やロードムービーやセブンスターでごまかすな。泣きながら「泣いてもいい?」なんて美しすぎること言うなよな。
何才からだって遅くはない。美容室に乗り込む際、水泳の娘(ところでなぜシングルマザー?)とこう会話してくれ。
「今からお母さんは、死に損ないの鬼ババと対決するから。もしハサミであの女をメッタ切りしそうになっても、どうか止めないで」
「うん、わかった。それにお母さんが危なくなったら、あたしが加勢してあげる」
「あんたは時々嘘をつくから、その言葉信用していいんだか」
「お母さんのそういうとこ、嫌い!」
「ごめんごめん」
「『ごめん』は一回でいい」
「ハイ」
────ところで、精神疾患歴のある者は理美容職に就くことが法律で禁じられてるんだけどなあ。

それにしても、あれだけ破壊され続けた娘が、今ではただの「感情コントロールが普通に上手で、身だしなみも常に清潔で、およそ癖らしい癖のない、若々しく美しい常識人」と化して水泳娘をきちんと育てているのも、ありえない。(スカートの後ろのスリットが常に真ん真ん中に安定。それも気に食わん。普通の女は一、二センチそれを左右にずらしたまま歩いてしまうものだぞ。)
繰り返し指摘する。悪魔を演じきらねばならない原田の心の安定のため、そして女優としての好感度(商品価値)を維持するために、極力「現在のワタシ」をグッドレディーにしておきたかった?
もっと観客の気持ちだけ考えろ! カタルシスなき過剰暴力描写のせいで、鑑賞後二時間ぐらい私はかすかに吐き気がしていた。見舞金よこせ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 絶望的
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