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カンゾー先生 (1998)

監督
今村昌平
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3.63 / 評価:139件

ある小さな町治療家の視点

  • fun******** さん
  • 2020年1月29日 22時08分
  • 閲覧数 1540
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    • 総合評価
    • ★★★★★

カンゾー先生が研究に無我夢中で没頭しているおりに、ソノ子が言う。
「みんな自分のことばっかじゃけん。先生だけじゃ、みんなのこと考えとるんは」
沈黙の臓器ともストレスの臓器ともいわれる肝臓が、この映画ではなにを意味するのか。黙っているけれど頭の中は雄弁で、自分のことばかりに神経を使い、妄想と現実が食い違うストレスを抱えている。そんな患者はカンゾー肥大をおこしている。日本中でカンゾー炎が蔓延していると先生は言う。カンゾー炎とはなんなのか。答えはソノ子のこのセリフにある。

先生は病気の原因追求に狂気の情熱を捧げる。一介の町医者は走り走りて生涯を終わらん。先生の信念だ。研究のために死体から肝臓を抜き取り、仲間の外科医に言われる「先生もついに狂いおったのぉ」ここから、先生以外のどいつもこいつも狂っていく。そして先生もカンゾー炎にかかりそうになる。死体解剖の前に一瞬ためらう。医師会に認められた一瞬の喜びに恥じらう。ソノ子のお尻に一瞬欲情する。人間がカンゾー炎になるのは、妄想と現実の間にあるこの一瞬の魔である。先生は境界線にとどまる。それは先生の信念が、妄想にとって代わって現実と闘わせていたからだ。信念が抱くものは自分じゃない、神である。だから先生はカンゾー炎にかかりえない。ラストのきのこ雲。戦争は終わった、しかし、この恐るべき病は現代に至るまで終わってはないのだ。

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