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カンゾー先生 (1998)

監督
今村昌平
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3.63 / 評価:139件

人間は、美しく逞しきバクテリアなり!

  • Kurosawapapa さん
  • 2014年3月20日 7時22分
  • 閲覧数 1966
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

今村昌平監督作品・第17弾は、
今村イズムともいえる、強大なエネルギーやバイタリティーに満ちた作品になっている。

レビュータイトルは、本作のキャッチコピー。

そういえば、今村監督のデビュー作「盗まれた欲情」でも、ドサ回りする劇団員たちが、踏まれても蹴られても決して死なない “舞台のアミーバ族” として描かれていた。

今村映画には、一貫して “下層民の生きる力強さ” が存在。
底辺に生きる者の、執着、性、欲望 を描くことによって、底知れぬパワーを生み出していく。


この映画は、 “医は仁術なり” を生涯貫いた、実直な開業医の物語。

耳鼻咽喉科医であった今村監督の父親へのオマージュと言える作品であり、
坂口安吾の原作を基に、今村監督が実の息子である天願大介と共同脚色、
親子三代が関わった作品となった。

どんな病気も肝臓病と診断してしまうことから、「カンゾー先生」と言われている赤城風雨(柄本明)。

開業医は足だ!
片足折れなば、片足にて走らん、
両足折れなば、手にて走らん、
疲れても走れ、寝ても走れ、
走りに走りて、生涯を終らん!

赤城は医療鞄を持って、とにかく走る!走る!
主役の柄本明は、日本アカデミー賞主演男優賞受賞。

また、淫売あがりの看護士を演じた麻生久美子(当時20歳)は、日本アカデミー賞助演女優賞受賞。
裸体を大胆に披露、濡れ場にも挑み、全く物怖じしない “飄々とした” 演技を見せている。


食糧も薬も不足した戦中の混乱期を背景に、
さまざまなエピソードが、今村流の “重喜劇” として描かれた本作。

インスパイアされた “中年男の逞しさ” は、今村監督作品「女衒」にも通じたもの。
強固な信念とともにひたすら走り続ける男の姿は、監督自身、多分にシンクロする部分であったのだろう。


この映画の完成バージョンは当初3時間を越え、東映の要請により、監督は断腸の思いで1時間ほどカットしたそう。

今村監督が書く脚本は、意図した部分に一途に入り込む傾向があり、そこからどんとんと枝葉が広がっていく。
若くして、名作「幕末太陽傳(川島雄三監督)」や「キューポラのある街(浦山桐郎監督)」の脚本を手掛け、32歳で監督デビューした後も、ほとんどの脚本を担当。

監督の “無限の発想力” は、驚嘆の極みだ。


空襲、 軍の圧制、 患者を苦しめる謎の病気、、、
多くの試練に立ち向かっていく主人公。

主人公のみならず、淫売あがりの看護士(麻生久美子)も、モルヒネ中毒の外科医(世良公則)も、アル中の生臭坊主(唐十郎)も、
皆が、汗まみれ、血まみれになりながら、必死に生きようとしている。

今村監督は、地位や名誉など、奇麗ごとをかざさない。

登場人物は、欲望を剥き出しにして、
精一杯のエネルギーを注ぎ、轟々と魂を燃やしながら、我が道を突進していく。

見栄 も 体裁 もない、
バクテリアのごとき素っ裸の人間たちの、逞しき “うごめき” 、
これこそが今村映画の真髄だと思う!
( IMAMURA:No17/19 )

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